回線切断、営業電話、スパム…携帯電話上のトラブルはアメリカも変わらず
2012/08/05 12:00
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年8月2日、携帯電話利用上のトラブルに関する報告書【Mobile Phone Problems】を公開した。同社の報告書としては比較的短い文面ではあるが、そこからは携帯電話の保有者が抱える苦悩は日本もアメリカもさほど変わりがないことがうかがえる。今回はその中から「代表的な携帯電話上のトラブル、不快に思う事象の遭遇頻度」について見ていくことにする。
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今調査は2012年3月15日から4月3日にかけて、アメリカ合衆国在住の18歳以上の男女に対して、RDD方式によって選択された電話番号を使った電話による通話インタビューで行われたもので、使用言語は英語とスペイン語。回答者数は2254人で、そのうち固定電話利用者は1351人、携帯電話は903人(うち410人は固定電話非保有)。インターネット利用者は1803人。各値は国勢調査の結果に基づきウェイトバックが行われている。
携帯電話というデジタルツールの機能が世界共通である以上、使い方もさほど変わらない。したがって「悪用を試みる人達」の考える内容も大きな違いは無く、携帯電話利用者にとって不快なトラブルも似たようなものとなる。最近はフィルタ機能の発達で随分と着信する数は減ったものの、国内外を問わずあらゆる国からスパムメールが届くのが良い例といえる。
今件では主要4項目の「トラブル」において、遭遇したか否か、遭遇したならどれくらいの頻度かを尋ねている。これらはそれぞれの「トラブル」に遭遇しうる人が対象。例えば「SMS(ショートメッセージサービス=テキストメッセージ)でスパムを受信した」なら、SMSを利用している人が対象となる。携帯電話を持っていてもSMSを使っていなければ、当然スパムSMSも受信しえないからである。
↑ 携帯電話利用上のトラブル(個々の条件で発生しうる状況にある人限定、米、2012年3-4月)
毎日一回以上のペースで区切ると、通話断線を実感している人は1割強、不必要な営業電話を受けている人も9%、スパム受信も8%という計算になる。週数回程度まで広げると2-3割。
通話断線は携帯電話使用上の環境やインフラ整備などの問題もあるので、キャリアやインフラ会社側の責によるところが大きい(意図的に発生したのでは無く、改善を求める努力目標的な問題)。一方、営業電話やスパムSMSは業者側の問題となるが、こちらは原則的に「してはいけないこと」を意図的にした結果によるものとなる。リリース原文でも「本来設問は、単純に『望んでいない』営業電話やスパムSMSに焦点を当てていたが、回答者は多分に法的規制を無視した行為によるトラブルを表している」という主旨の説明がなされている。
具体的な規制事例として「ランダムに番号をかけたり、録音したメッセージを使って呼び出しをする方法は違法」「National Do Not Call registryに登録した利用者にスパム行為をしてはならない」などの話が寄せられている(参考:【National Do Not Call Registry について(PDF、国土交通省・悪質リフォーム対策検討委員会資料)】)。これらの規制をかいくぐり、あるいは無視をし、携帯利用者に「望まれない」営業行為を行う業者が後を絶たない事例があることを、今件調査結果ではうかがわせる。
他方、最後のトラブル項目「データダウロードの遅さを実感」だが、設問原文は「Slow download speeds that prevent things from loading as quickly as you would like them to」。「自分が望んでいたダウンロードスピードより実態が遅い」。具体的にどの程度の遅さかまでは指定されていない。「自分が望んだ速度より遅い」のか、「携帯電話本体や利用回線で喧伝されている速さよりも遅い」のか判断が付きかねる。
そしてダウンロードなどの処理では「速ければ速いにこしたことがない」のも人の常というもの。上を見たらきりがないことを考えれば(それこそ専用固定線でも「遅い」と思う人は居る)、他の3項目とは少々立ち位置が異なる、そして概算的な意味合いが強いものと考えたほうが良いだろう。
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