アクティブユーザー数は微減、下げ幅拡大へ…mixi動向(ユーザー数とアクティブユーザー、2012年6月)
2012/08/05 07:10
先日【mixiの現状(2012年6月末時点)】でお伝えしたように、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)【mixi】を運営する【ミクシィ(2121)】は直近の四半期決算短信を発表、説明会資料を公開した。それに伴い各種最新データが公開されたこともあり、以前まとめた「月間ログインユーザー(MAU)数」などのグラフの値を更新し、再構築化を行うことにした。
スポンサードリンク
ミクシィでは毎四半期決算短信の発表と共に、現状の解説と今後の抱負などをまとめた補足資料を開示している。その中には機能の変更や状況の変化(アプリの公開開始やスマートフォンの普及など、アクセス環境の大きな流れ)によってスタイルを変えつつも、mixiの規模を示す数字が示されている。それが「登録ユーザー数」であり「月間ログインユーザー数」”だった”。
定義としては
・月間ログインユーザー数……該当月に1度でもアクセスしたユーザー数(登録ユーザー数)。同一ユーザーが2度以上アクセスしても一人としてカウントする(延べ人数では無い)。
となる。利用スタイルなどを想像すれば、実質的に「月間ログインユーザー数」が現在利用しているユーザー数で、それ以外は休眠状態・幽霊会員の類と見なして良い。アメリカの調査機関【Pew Research Center】でもソーシャルメディア関連の調査では一か月に一度の利用を「現実に使用しているか否か」の区切りの一つとしている場合が多い。
ところが先の記事にある通り、ミクシィ側では先日発表した2012年度第1四半期決算短信から、「登録ユーザー数」の値を非開示としてしまった。同日発表のPontaとの提携に関するリリース【ミクシィとロイヤリティ マーケティング、mixi、Ponta連携によるO2Oマーケティングを実施】でも、
と表記しており、今後少なくとも次の四半期までは「ユーザー数」が必要な場合は、前四半期の値2711万人を用いるものと推定される。
ともあれ非開示となった以上、休眠状態・幽霊会員の値は算出できない。次期四半期での公開復活を期待しつつ、今回は「あえて」登録ユーザー数の更新なしのグラフを生成しておくことにする。
↑ mixiの登録ユーザー数・月間ログインユーザー数推移(万人)
「登録ユーザー数」>>「月間ログインユーザー数」となるのは当たり前の話だが、アクセスしやすいアプリの導入やシステムの変更でグラフの傾斜にやや凹凸があるも(例えば2010年前半期にやや上昇幅が大きくなっているのは、招待制を廃して登録制にしたため)、両者とも右肩上がりなのが分かる。しかしよく見ると、「登録ユーザー数」は継続的に上昇カーブを描くが、「月間ログインユーザー数」は傾斜を緩やかなものとし、2011年に入ってからは漸減傾向さえ確認できる。
そして上でも触れているように、「登録しているが該当月に一度もアクセスしなかった」休眠状態・幽霊会員が増加しているのが確認できる。両折れ線グラフの間が、そのまま幽霊会員となり、この幅が次第に開いているからだ。
直近四半期では「登録ユーザー数」が不明であるものの、「月間ログインユーザー数」は確実に減少している。仮に「登録ユーザー数」が前四半期と同じだった場合でも、両者の差は開き、幽霊会員は増加していることになる。
今回はこれ以上の「登録ユーザー数」周りの話は思惑・推測でしかなくなるので、代わりに「月間ログインユーザー数」の前四半期からの変化率推移をグラフ化しておく。
↑ mixiの月間ログインユーザー数前四半期比推移
2010年3月末で大きく伸びているのは、上記でも触れているように招待制を廃して、誰でも入会できるようにしたため。四半期変移でみれば、明らかに大きな効果があったわけだ。また2011年3月末の増加は、2月21日にAndroid携帯からの新規ユーザー登録が可能になったことに加え、東日本大地震・震災に絡み、地域の情報取得のためのソーシャルネットワークとして活用する人が新規登録をしたものと考えられる(ミクシィ側でも【各種コミュニティを臨時開設している】)。地域性の強いmixiの長所が発揮されたわけだ。
しかしそれ以降は概して低調。今回期では前四半期比で4%近い下げを計上してしまっている。ある意味、震災が転換期の機会であり、それを活用しきれなかったがための下落なのかもしれない。
ミクシィは少なくともこれからしばらくの間は、急激な成長を実感できたスマートフォン、そしてアプリ課金に注力すると語っている。しかし広告ほどには直接の連動性はないものの、やはりログインユーザー数の減少は気になるところ(ページビュー数ではないので「利用機種の変化」「アプリからのアクセスが反映されない」などの説明は通らない)。またこちらはリリースでも言及しているが、期待項目のアプリ課金において、ソーシャルゲームの新ガイドラインが適用されるため、売り上げ面での不安定要素が積み重ねられているのも否定できない。
次四半期以降における「登録ユーザー」数の公開と共に、漸減する月間ログインユーザー数が同社内ビジネスにどのような影響を及ぼすのか。気になるところではある。
スポンサードリンク