米国民の「経済の先行き」感
2012/07/30 06:45
先日【正規雇用者66.2%、失業中は8.1%…米雇用状況推移】で雇用状況の事例を解説したように、アメリカの調査機関【ギャラップ社】は社会情勢を把握できる複数の項目について定点観測的な調査を行い数字化、日々・週単位で指標として公開している(ギャラップ・デイリー、ウィークリー)。今回はその中から、経済的な見通しについて見ていくことにする(【U.S. Economic Outlook (Weekly)】)。
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今調査は毎週ギャラップ社が18歳以上の在米者に対して電話インタビューで行った結果で、季節調整や国勢調査結果によるウェイトバッグは行われていない。毎調査ごとの回答者数は約3500人。
今件では「全般的に」「アメリカの」経済状態は今後良くなっていく(楽観)か、それとも悪くなっていく(悲観)か、回答者の心境・考えを尋ねている。「何年後」「どれくらい」など具体的な要件では聞いていない。あくまでも雰囲気的に、二者択一での話(ただし二つの選択肢を足しても100%にはならないので、実際には無回答者や「どちらでもない」が一定数いるものと考えられる)。
今調査では2008年以降のデータが公開されているので、まずはそれをまとめてグラフ化する。
↑ 米国の経済面での将来の展望
いわゆる「リーマンショック」直後はやや悲観論が増えるが、その後はむしろ減少。2009年初頭あたりからは楽観論者が3-4割、悲観論者が6割程度の線で落ち着いていく。これは多分に大統領選挙の結果に伴う「経済立て直しへの期待」が影響した結果と考えられる。
2011年半ばには一時的に悲観論が再び上昇するも、半年ほどで沈静化。現状はこの数年間の平均的な値に戻りつつある。
一方、今年に入ってからの変動をまとめたのが次のグラフ。
↑ 米国の経済面での将来の展望(2012年-)
ほぼ横ばいには違いないのだが、この数か月の間に悲観論者が増加、楽観論者が減っているのが気になる。年初の値とほぼ同じ状況。ヨーロッパの債務問題の動向が、微妙に影を落としているものと考えれば、納得は行く(春先に一時楽観論者が増えたのも、それで説明できる)。
今件は米商務省などの各種統計データでは無く、あくまでもギャラップ社の調査結果でしかない。しかし人々の不安や安心感、自らの周辺状況から感じる「それとなく」的な雰囲気の動きはつかみ取れる。大きな変化が確認できた場合、それなりに注意を払うべきだろう。
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