1/4は「災害時に自動応対してくれるなら有料でも使いたい」…高齢者のタブレット機利用願望(2012年版情報通信白書より)
2012/07/26 12:10


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今調査項目は高齢者(60歳以上)1559人、および60歳以上の親と別居中・親にタブレットパソコン(PC)をプレゼントしようという意向が少しでもある30-40代の子供826人に対し、インターネット経由で行ったもの。また別途、パソコンをほとんど使っていないがタブレット端末に少しでも興味がある60歳以上に対し、郵送調査を行った結果(353人)が含まれている場合もある。どの母体を対象としているかは、随時各項目で記述する(【調査要件詳細】)。
まずはタブレット端末で提供される、サービスの利用意向。これは高齢者を対象に尋ねている。インターネット経由での調査であり、多少なりともICT(情報通信技術)に長けている事に注意。

↑ タブレット端末で統合的に提供されるサービスの利用意向(60歳以上・PC利用者)
ぱっと見で分かるのは「無料なら利用したい」以降がどのサービスも半数前後に達していること。そして有料サービスは総じて低調であること。しかし「災害時の自動応対」「血圧・歩数などの健康管理」など、健康や安全面に直結するサービスでは、多少の負担は構わないとする意見も多いのが目に留まる。
「孫とテレビ電話」はもう少し需要が高いかと思われたが、有料サービスへの需要も含め、他のサービス項目とさほど変わらない意向でしかない。あるいはやはり、「孫とは直接会いたい」という想いが強いのかもしれない。
タブレット端末は本格的な普及がこれからのため、初心者の立場に居る人が多い。どのような機能やサービスでサポートしてくれれば、「はじめの一歩」を踏み出し、使いたいと思えるようになるだろうか。機能の有用さについて聞いたのが次のグラフだが、「動作が安定」「詐欺やウィルスがほとんどない」など、安定感の高さを強く求めていることが分かる。

↑ タブレット端末の統合的な機能の有用さ(60歳以上・PC利用者)
他に有用性で高めの値を出している項目「携帯のようにすぐ使え、設定不要」「トラブル時に店で対応してくれる」なども含め、「高い安定性と安心感、何かあった時には確実に対応してくれる」という、いわゆる「インフラ的要件」を求めているのが目に留まる。新しいデジタルツールとしてあれこれと新しい仕組みを覚えるよりは、「冷蔵庫や洗濯機のような家電ライクな利用ハードルの低さと安心感を得たい」と考えている。そのように推定すれば道理が通る。
他方、高齢者の親にタブレットをプレゼントしたいと考えている中堅の人たちもまた、タブレット機で使ってほしいサービスとして「災害時の自動応対」「血圧・歩数などの健康管理」など、健康や安全面に直結するサービスを求めている。

↑ タブレット端末で親に使わせたいサービス(30-40代、別居中の60歳以上の親を持つ人限定)
親子でタブレット機に期待する項目で重なる部分がある。これは注目に値する傾向である。
金額面の無料・低価格化要求や「インフラのような堅甲さ」という、デジタル機器にとっては極めて厳しい要求が少なくないが、これは同時に大きな市場を確保できうるヒントでもある。【タッチパネル製品保有の世帯は8割強、携帯ゲーム機5割・カーナビ1/3】でも指摘しているような、シニア層が操作しにくいタッチパネルそのものの弱点の克服と合わせ、各ハード・ソフト会社は、シニア層のニーズにあったタブレット機によるサービスの提供を目指してほしいものだ。
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