スマートフォン利用上の「不安」(2012年版情報通信白書より)
2012/07/26 06:50


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スマートフォンは一般携帯電話並みの機動力と、ノートパソコンに手が届くほどの高機能性を持つため、シェアを加速度的に拡大している。しかしそれと同時に、【急増するスマートフォンのトラブル、国民生活センターが注意喚起】でも触れている通り、トラブルの類も増加の一途をたどる。また個人情報の取り扱いに関して、本来慎重でなければならない企業の勇み足なども昨今では目に留まるようになった。
今件ではスマートフォンユーザーに対し、アプリを利用することに対する不安を複数回答で聞いているが、「特に不安は無し」との回答者は24.0%に過ぎない。残りの76.0%は何らかの不安を抱いていることになる。

↑ スマートフォンのアプリケーション利用に対する不安(n=1572)
利用者が意図的に利用していない間にも、情報の更新など自動的にアプリが挙動することは少なくなく、気が付くと本体内の電池がごっそりと減っている状況もよくある話。また、電池消耗や挙動が遅くなるという不安は「不便」で片が付くが、ウイルス感染や情報の「勝手な取得」への懸念は「実害」を導き得るので始末が悪い。
この中でも昨今特に話題に登っている「利用者情報」について、「アクセスされると不安だな」と感じる項目を挙げてもらったのが次のグラフ。スマートフォンは高性能であるがため、登録されている個人情報も多い。それは「他人に見せたくない情報」がスマートフォン上に山積みになっていることをも意味する。

↑ ユーザーがアクセスされることにより不安を感じる利用者情報(n=1572)
上位3項目は「電話帳情報」「自身の電話番号」「通話先の電話番号」と、電話番号関係が続く。例えインターネット端末としての機能が充実していても、スマートフォンが電話機であることには違いなく、個人情報として重要であることを再認識させてくれる。また、それに続く「現在位置」や「ストレージデータ」なども含め、プライベートを容易に推測できる、判断できる、個人を特定される情報に、強い懸念を抱いているのが分かる。
例えば「メールアドレスは(保護すべき)個人情報であるか否か」という命題がある。名前などを含んだアドレスは個人情報であり、そうでない場合は該当しないとする考え方がある(【個人情報保護法に関するよくある疑問と回答書】)。ただし「特定の個人を識別することができない場合には、別に取り扱う名簿などとのマッチングにより個人を特定することができない限り」との注意書きにもある通り、多数の情報が容易に検索できるようになった昨今では、メールアドレスから紐付される各種情報は容易に取得できる以上、事実上すべてのメールアドレスは個人情報足りえると考えた方が無難ではある。
「便益を与えそうに思えたから」「より良いサービスを提供するために」との大義名分のもと、利用者側の個人情報を断りなく、あるいは半ば詐称する形で取得し、その挙動が発覚して騒ぎとなる事例が相次いでいる。まるで「将棋倒し」における「これくらいなら、いいかな?」とコマを1つ1つ取り除く行動を繰り返している感は否めない。アプリ制作側には十分な情報保護意識のもと、ソフト開発に取り組み、利用者側の疑念が積み重なりつつある現状の雰囲気を打開してほしいものである。
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