インドの携帯電話普及状況など(2012年版情報通信白書より)
2012/07/24 12:01
総務省は2012年7月17日、2012年版の【情報通信白書】を公開した(【発表リリース】)。構成要素の一部は以前【インターネット機器としてのモバイル機器とパソコンの所属世帯年収別利用率(2011年分データ反映版)】などでも紹介した「通信利用動向調査」の結果を元にしているが、他にも色々な資料を元に注目すべきデータを多数収録している。今回はその中から、インドの携帯電話普及状況などを見ていくことにする(【該当ページ:第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋 第2節 グローバルに展開するICT市場】)。
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人口12億を数え、現在もなお増加傾向にあるインド。【アジア太平洋のモバイル加入者数や増加傾向】【モバイルインターネットの広がりをかいつまんでみる……インドと中国】などで触れているが、政府主導による大規模なIT技術の促進が「5か年計画」の元に行われている。
白書の解説によると、
そして、第11次5か年計画(2008年-2012年)においては、①ネットワークの拡大、②ルーラル地域の電話、③ブロードバンド、④製造及びR&Dが掲げられている。特に、インドにおけるソフトウェア産業は、英語やICTを使いこなすことができるエリート層に裾野が限定されていることが課題との指摘もあり、インド政府の戦略的ICT政策は、産業の裾野を広げるための戦略的取組であるとも考えられる。
とある。明確な目標と洗練された対象への注力がなされており、成果が着実に実を結びつつある感が見受けられる。
まずは携帯電話(スマートフォンから、インターネットアクセスが出来ない一般携帯電話までをも含む)の普及率だが、【国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)のデータ項目ページ】から取得したデータに、白書中の最新値(75.4%。2012年2月実績分、インド電気通信規制庁(TRAI)調べ)を反映させたのが次のグラフ。
↑ 携帯電話普及率(インド、契約数/人口比率)
インドの人口が現時点で12億人を超えていることを考えれば、その3/4が携帯電話を持つ状況の意味がどれほどのものか、理解はできるはず。
またインフラ事情の上で多くの新興国に共通する状況、すなわち固定インターネット回線や固定電話の普及は牛歩状態な一方、携帯電話などの電波系インフラが大いに飛躍しているのも確認できる。次のグラフは固定・移動(=携帯)電話の加入者数推移だが、固定電話が横ばい、むしろ漸減しているのに対し、携帯電話は急カーブを描いて上昇している。人口が急激に増えるはずもなく、当然一つ目のグラフに近しい形となっている。
↑ インドにおける電話加入者数推移(各年9月末、2012年は2月末)(万人)
最後はインターネット・ブロードバンドの普及率だが、これは意外に低い。
↑ インドにおけるインターネット・ブロードバンド加入者数の推移(各年9月末、2012年は2月末)(万人)
インド側でもこの件については重大な問題と認識しており、「2Mbps以上のブロードバンドによる接続を2017年までに1.75億件、2020年までに6億件実現、需要に応じ最低100Mbpsの高速通信を実現」「2020年までに、通信技術を組み合わせることで全村落に高速かつ高品質なブロードバンド接続を提供」「ブロードバンド接続を含む通信は原則必要なものと認識、「ブロードバンドの権利」に向けて努力すること」などを「テレコム政策2012」として策定し、国家的諸課題として推進対象政策化している。
インドは民族や習慣、社会文化の多種多様化さから、「国」では無く「大陸」という表現を用いる人もいるほど。インターネットの普及により情報のやり取りが促進されると、どのような社会的変化が生じるのか。経済的な発展の動向と共に気になるところではある
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