固定電話は漸減中で1353万件、携帯電話は増加中で2億2200万件…電話加入数の推移(最新)

2024/08/26 02:27

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2024-0812総務省は2024年7月5日、2024年版となる最新の【情報通信白書】を公開した(【発表リリース:令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)の公表】)。構成要素の一部は各種記事で精査した調査結果「通信利用動向調査」を基にしているが、他にも色々な調査結果や資料を収録している。今回はその中から、携帯電話、固定電話、IP電話などを合わせた電話利用数・加入数の推移を確認・グラフ化し、現状の再精査を行うことにした。

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先に別記事【固定電話の加入契約者数の移り変わり(最新)】で記したように、固定電話の加入契約者は年々減少を続けている。

↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)(再録)
↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)(再録)

これは電話の利用・保有スタイルが固定電話だけでなく、携帯電話のように別の選択肢が登場したことによるもの。特に昨今では携帯電話の普及により、固定電話を必要としない人が増えている(「電話」としての機能を求めているので、それが固定であろうと携帯であろうとかまわないとするもの)。また情報の伝達スタイルが世帯単位から個人単位へとシフトしつつあるのも、家庭に据え置かれ世帯単位での連絡先として使われる固定電話の利用必要性が減り、個人に保有権がある携帯電話実機を持ち歩く利用スタイルが浸透する一因ではある。

そこで「固定電話(加入電話(NTT東西による電話回線を用いた契約電話)+CATV電話+ISDN+直収電話(NTT東西以外の電話会社が提供する固定電話契約。IP電話やCATVを除く)」「携帯電話(PHS含む)」「0ABJ型IP電話」「050型IP電話」に区分した上で、個々の加入数・契約数動向と、積み上げ型のグラフの双方を作成したのが次の図。

↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(個別変遷)
↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(個別変遷)

↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(積み上げ)
↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(積み上げ)

IP電話は2002年以降普及し始めた050型と、2005年以降に本格普及が始まった0ABJ型の2タイプがある。後者の方が従来の固定電話に近い使い方ができる(緊急通報の利用も可能)こともあり、現在ではこちらの方が浸透が進んでいる(050型からの乗り換えも想定できる)。

IP電話の利用数は漸増する一方、固定電話はそれ以上のスピードで減少している。しかしそれらを上回る勢いで携帯電話の契約数は増加しており、結果として全部を足した値は漸増状態にある。また、携帯電話は一人で複数契約の事例、個人だけでなく法人でまとまった契約の事例もあるため、現在では人口数以上の数字を示している。単純計算上では1人1台以上の保有状態となっている。

日本の人口はほぼ横ばいから漸減、世帯数は漸増であることと合わせて考えると、一定数が固定電話の契約・利用を止めて、携帯電話(のみ)へ切り替えた人がいると考えてよい。

「電話手段として保有しているのは携帯電話のみ」との世帯の存在、可能性については、アメリカ合衆国の事例として【アメリカ合衆国の電話普及率推移(最新)】が具体例として挙げられる。全体で7割台、若年層世帯に限定すれば8割台の世帯が「世帯では携帯電話のみの保有」と回答している。日本の場合の広域調査のデータは見当たらないが、類似の話として以前【固定電話の保有状況】で世帯あたりの固定電話保有状況を確認しており、若年世帯主世帯ほど保有率は低い値を示している。金銭的事情だけでなく必要性の有無も考慮した結果として、若年層を中心に「固定電話を保有せずに携帯電話で充足してしまう世帯」が増えていると考えられる。

↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2023年)(再録)
↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2023年)(再録)

さすがに固定電話が一般世帯から消えて無くなる状況は考えにくい。またIP電話もコストなどの関係から今後も普及率の拡大を続けて行くと考えられる。ケーブルテレビなどとセットで導入する事例も多いのも、その助力となる(ただし最近ではケーブルテレビ側も、携帯事業会社と提携し、携帯電話との契約のセットを用意する事例もある)。

一方、高い機動性を持つ携帯電話、特にスマートフォンが今後も加入者数を積み増し、半ば固定電話層に取って代わっていく構図は変わらない。世帯ベースで保有する固定電話より、個人ベースで保有・利用する携帯電話に重点が置かれる様式は、情報社会の進展に伴う個人主義化とも受け止められる。社会の変容を示す一つの指針としても、注目すべき動きといえよう。


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