IP電話が漸増するも全体では減少、今や73%がIP電話…固定電話の加入契約者数の移り変わり(最新)
2024/08/26 02:25
総務省は2023年7月4日、毎年恒例となる【情報通信白書】の最新版、2024年版を公開した(【発表リリース:令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)の公表】)。構成要素の一部は先行する形で発表されている「通信利用動向調査」の結果をベースにしているが、他にも多様な資料、調査結果を取り入れており、さらに独自の調査の結果も盛り込まれ、情報通信の現状を知るには有意義な内容となっている。今回は携帯電話の浸透普及とともに、その必然性を減少させつつある固定電話数(加入契約者数)の動向に関して、最新の値を盛り込んでグラフを作成し、現状の確認を行うことにする。
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同じ総務省の調査などを基にすれば、携帯電話の普及率は1995年時点では1%台だったのが、2000年には4割を超え、最新データでは168.8%との値が出ている(【TCA発表値ベースだと168.8%…複数データを基にした携帯電話の普及率推移(最新)】)。
↑ 携帯電話人口普及率(PHSやBWA除く)(再録)
一方固定電話(電話の設置を希望する契約者と、NTT東西との契約に従って敷設される電話回線による加入電話に加え、IP電話、さらにはCATV電話、そしてNTT東西以外の電気通信事業者が提供する直収電話も含めた総計)の加入契約者数は漸減傾向を続けており、直近の2023年度末(2024年3月末)には4963万件となっている。携帯電話の普及率上昇と相反していること、昨今においては固定電話を持たずに携帯電話のみの世帯も増えていることから、電話インフラの所有・利用のトレンドが確実に変化を遂げつつあるのが分かる。
↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)
また固定電話内部においても、NTT東西加入の加入電話は、一般の加入電話・ISDNともに減少する一方、IP電話は漸増を続けており、直近では全固定電話のうち73%をIP電話が占める形となっている。停電時に使えない、緊急・特殊通話ができない場合もあるなどの短所もあるが、安価に設置・利用できることから、固定電話を必要とする場面でのIP電話の利用は浸透を続けており、今後も契約数そのものに加えて固定電話に占めるシェアも増加していくものと考えられる。なおCATV電話は公開値の限りでは2022年度末の時点でゼロ。実際には1万契約未満の値にとどまっているようだ。
一方、携帯電話の普及に伴う固定電話の利用減少トレンドは、公衆電話にも表れている。むしろ減少度合いは固定電話よりも大きい(【公衆電話の設置数推移(最新)】)。
↑ NTT東・西日本における公衆電話設置数(構成内容別)(再録)
今後は利便性やコストパフォーマンスの上で、携帯電話やIP電話の加入契約数(率)がこれまで以上に増えていくことは間違いない。一方、先の震災の時に大活躍した経験からも分かる通り、「万が一」の時のために頼れるインフラとして、固定電話(加入電話)や公衆電話が無くなることはありえない。
しかし固定・公衆電話が今後も引き続き、漸減傾向を続けることもまた容易に想像がつく。時代の流れとはいえ、少々寂しさを覚えるのは当方だけではあるまい。
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