農業に興味はあるけど就職したい学生は1/4程度・欲しい支援は「安定収入」
2012/07/17 06:30
パルシステム生活協同組合連合会は2012年5月29日、農業に興味がある学生の実態調査結果を発表した。それによると調査母体の学生(「農業やその周辺産業に関わる仕事や職業に興味がある」12-22歳)においても、農業に関わる仕事に就職したいと考えている人は、全体の約1/4であることが分かった。さらに、それ以外の人に「どのような環境・支援があれば農業関連への就職を検討するか」と尋ねたところ、最多回答項目は「安定収入の見込み」で、6割近い人が同意を示していた(【発表リリース】)。
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今調査は2012年5月1日-6日にかけて携帯電話を用いたインターネット経由で「農業やその周辺産業に関わる仕事や職業に興味がある」12-22歳の学生に対して行われたもので、有効回答数は1000人。純粋な学生ではなく、農業・同関連事業に興味を持つ学生を母体としている点に注意。
ある程度農業に興味を持つものの、実際に就職まで検討している学生は、それほど多くは無い。今調査母体では積極的に就職を考えている人は5.7%に留まり、「何となく」レベルの関心を抱く学生でも20.2%でしかない。残りは「どちらともいえない」「したくない」。
↑ 農業に関わる仕事へ就職したいと思うか
「興味関心がある」という前提があっても、就農希望者は1/4程度。少ないという印象は否定できない。
それではなぜ、興味があるにも関わらず就農に否定的なのか。それを尋ねた結果が次のグラフ。「どちらともいえない」「したくない」と回答した約3/4の学生に、「このような環境、支援を提供してくれれば、農業・あるいはそれ関連の仕事への就職を検討しても良い」という条件を聞いたものだが、最高回答率を示したのは「安定収入の見込み」だった。56.0%が検討のための条件として提示している。
↑ どのような環境・支援があれば農業に関わる仕事への就職を検討するか(農業に関わる仕事へ「就職したくない」「どちらかといえば就職したくない」「どちらともいえない」回答者)(複数回答)(上位10位まで)
自然を相手にする面が大きく、さらに市場動向にも大きく左右されかねない農業においては、収入の不安定さも否めない。他の自営業も似たようなものだが、やはり安定収入は切望されるところではある。第3位の「必要な技術や経営の指導」、第7位の「農地が簡単に借りられるなら」などのような、運営上の不安もあるものの、続く第2位の「高収入の見込み」も合わせて考えると、「お金周りの不安さ」が就農を思いとどまらせる主要因といえる。
その他の項目も多分に収入への視点がメインなことから考えると、「農業に興味はあるが就農は避けたい、考えていない人」の多くは、「農業そのものに深い興味を抱く」というより、「純粋に”生活を支えるための金銭を得る職業”の選択肢の一つとしての農業」に興味を抱いていることが透けて見える。あるいはそのような考え方もありなのだろう。
安全で安定した食の確保・提供という社会的責務を果たす。それだけでなく、高収益化によりさまざまな余力が出来、さらに農業の可能性を導き、未来を切り開くのであれば、それは素晴らしいことなのかもしれない。
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