テレビが最多、インターネットではウェブとSNSが一番…アメリカ合衆国の「日本情報」取得元(最新)
2024/04/19 02:40
外務省は2024年3月15日付で、アメリカ合衆国国内における対日世論調査の結果を発表した。その内容によれば調査対象母集団では、日本の情報や知識の取得源として、インターネット以外では一般人・有識者ともにテレビをもっとも多く活用していることが分かった。インターネットではウェブ(サイト)とSNSがよく使われている(【発表リリース:令和5年度海外対日世論調査】)。
スポンサードリンク
一般人も有識者もテレビが一番
調査概要に関しては先行記事【アメリカ合衆国の日本への一般人信頼度73%・有識者は88%に(最新)】を参照のこと。
日本に在住する我々がアメリカ合衆国のことを、テレビや新聞、雑誌、インターネットなど多様な媒体で、あるいは実際に旅行したり、学校で習うことで知るように、アメリカ合衆国在住の人達もまた、日本の事を色々な媒体、機会を介して取得している。最新の2023年度調査の結果によれば、インターネット以外では一般人は42%が、有識者では61%の人がテレビで日本の情報を得ている。
今調査項目では2015年度分から大きな仕様変更が行われている。いくつかの選択肢がなくなり、あるいは追加されたのに加え、「インターネット」が「ウェブ」や「ブログ」など具体的なサービスに多分化されたため、「インターネット」全体としての値が取得できなくなっている。
また先行記事でも言及しているが、2017年度以降の調査分では一般人の複数設問で、明らかに回答値が過去のものと比べてイレギュラーレベルでの減少を示しているものが確認されている。設問様式の一部変更が行われた可能性は否定できない。今回取り上げる設問もその動きに該当するもので、単年分はともかく、過去の調査結果との比較には注意が必要となる。
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(一般人、自由回答)(2023年度)
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(一般人、自由回答、インターネット関連)(2023年度)
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(有識者、自由回答)(2023年度)
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(有識者、自由回答、インターネット関連)(2023年度)
一般人ではテレビ、新聞、友人・隣人、映画、雑誌・書籍の順で、学校教育などは少数派。インターネットに限ればウェブが最多回答で、ソーシャルメディア(SNS)や動画配信サイトはウェブよりは低い。
他方有識者ではテレビが最多なのに違いはないが、新聞や雑誌・書籍などの紙媒体による取得も多分におよんでいる。権威ある紙媒体からの情報取得に積極的であるようすがうかがえる。
インターネット関連では一般人と似たような傾向ではあるが、SNSがウェブと同値なのが目にとまる。自分自身が取捨選択している情報取得元が確かなものであるとの認識を持っているのだろうか。
経年変化を見てみる
これを調査年度別の推移でグラフ化すると、個々の媒体と対象者の立ち位置の変化もかいま見えて興味深い。ただし上記で触れている通り、「インターネット」は2015年度分以降は選択肢が細分化されたために非掲載となり、またいくつかの項目が消えている。さらに一般人の「講演・文化行事・イベント」は2015年度からの追加となっているため、他の項目と比べて短い線にとどまっている。そして一般人については前述の通り、2017年度以降の分は設問様式の変更によるイレギュラーが生じている可能性が高いことを記しておく。
まずは一般人。グラフの状況を見れば分かる通り、2017年度以降の分は明らかに異様な動きであるため、それを考慮する必要がある。
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(一般人、自由回答、対メディア)
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(一般人、自由回答、対人)
雑誌・書籍の立ち位置は意外にも安定している。これはアメリカ合衆国発のだけでなく、日本の雑誌を間接的に取得しているのも反映しているのかもしれない。一方で新聞やテレビ、特に新聞は漸減傾向にあるが、これは【ニュースメディアはテレビ・新聞からインターネットへ…アメリカの10年来動向】などで解説しているように、新聞というメディアそのものの立場が弱まっていることと浅からぬ関係があると見てよい。またインターネットは右肩上がりの動きを見せている。それ故に2015年度以降の値が取得できなくなってしまったのは残念。今後ある程度の年数が経過した上で、インターネットの各選択肢における推移を見ることはできるが、他メディアとの比較ができないことに変わりはない。
他方、2017年度以降に限ると、新聞、テレビ、ラジオが底を打ったうえで増加傾向を見せている。今後が気になる動きではある。
対人面では学校教育の値が漸減しているが、代わりに友人・隣人や訪日経験が増加の動きを示している。ダイレクトに自身が経験したり、知り合いからの口頭伝授で聞くことにより、より詳しい、自分の趣向にあった情報を得ようとしているのだろうか。
続いて有識者。
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(有識者、自由回答、対メディア)
↑ 日本についての知識および情報はどこから得ているのか(有識者、自由回答、対人)
全般的に一般人と比べて積極性が強い、つまり数字が高いように見える(2017年度以降の分は原則検証外だが、あえて比べても同様に一般人と比べて高い)。同時にエンタメ性が高い対象は低め、そうでないものは高い傾向にある。他方、インターネットの利用率の急上昇や、テレビ、新聞・雑誌、新聞の減少への動きも一般人と同じ、一部ではむしろ一層加速がついているようだ。それゆえに、インターネット全体としての値が2015年度分から取得できなくなったのは残念。
他方、2016年度は全選択肢で前年度から大きく下落した。2017年度では大きく盛り返したが、それでも2014年度分には届かない項目が複数ある。さらにそれらの項目の多くは2018年度では再び減少している。今までになかった現象だが、一部の他設問でも類似の傾向が確認できることから、アメリカ合衆国の新政権下において有識者の心境に小さからぬ変化が生じているのかもしれない。一方で2017年度以降の一般人同様、設問様式に変化が生じた結果の可能性は否定できない。
また2020年度では一般人と異なり対人では学校教育、講演会・文化行事・イベント、訪日経験で、対メディアでは映画以外のすべての選択肢で大きな増加を見せている。新型コロナウイルス流行による生活様式の変化云々というよりは、アメリカ合衆国での大統領選選挙を経て、単純に日本への興味度合いが増したのかもしれない。その後、訪日経験が増加の動きを見せるのに対し、学校教育や講演会・文化行事・イベントが落ち込むのも興味深いところではある。直近年度では映画、友人・隣人、講演会・文化行事・イベント、訪日経験と複数の選択肢で大きな増加を示しているのも気になるところだ。
1つの調査ですべてを断じるにはリスクが高いが、同時にさまざまな判断を下す材料として今調査が行われているのもまた事実。アメリカ合衆国だけに限らないが、日本の情報を公知し、認知度を高めるのならば、注目を集めている、あるいは多用されているメディアに対する積極的な姿勢を見せ、行動した方が効率はよい。効率の良し悪しを考えれば、そのような結果は容易に導き出せるはずだ。
2015年度分から細分化されたインターネット関連では、有識者はともかく一般の人の間において、動画共有サイトやソーシャルメディアが思いの外よく使われている実情が把握できる。インターネットサービスの普及の実情を考えれば、次年度分以降の動向では、さらに値は上乗せされるに違いない。
■関連記事:
【アメリカの新聞販売部数動向(SNM2013版)】
【米露中韓印…日本から主要5か国への親近感推移(最新)】
【日本の常任理事国入り、国内賛成派はほぼ9割(最新)】
【対米89%、好感度もうなぎ昇り…対外国・震災対策評価】
【在日米軍司令部、日米同盟50周年を記念したオリジナル漫画を公開】
スポンサードリンク