日本が1番中国2番…アメリカ合衆国の有識者におけるアジア地域諸国に対するパートナー意識の重要度推移(最新)
2024/04/18 02:42
外務省が2024年3月15日付で発表した、アメリカ合衆国における対日世論調査の結果によると、調査対象母集団のうち有識者では、アジア地域でもっとも重要なパートナーと認識している国は日本であるとの意見を持つ人が最多割合を占め、26%に達していることが分かった。次いで中国とインドが24%で続いている(【発表リリース:令和5年度海外対日世論調査】)。
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米国にとってアジアで最も重要なパートナーの国は?
調査要項は先行記事【アメリカ合衆国の日本への一般人信頼度73%・有識者は88%に(最新)】を参考のこと。
今調査全体は1960年度以来ほぼ毎年実施しているが、今件項目は年により選択肢(国)が頻繁に入れ替わっていることもあり、対象年を区切った上でグラフを作成する。
まずは「アジア地域の中でどの国が、アメリカ合衆国・地域にとって最も重要なパートナーであるか」(つまりアメリカ合衆国におけるアジア地域でもっとも頼りにしたい、付き合いを深めたい国)との設問に、択一で答えてもらった結果の推移がこちら。元資料には簡易グラフ化したものもあるが、未計測の年度もあり、それに関するデータが記述されていないため、年度が確定できる範囲で作成している。なお一般人に関しては2020年度以降は該当項目の調査が行われていないため、その前年度の2019年度の値が最新のものとなる。
またほぼ毎年選択肢として用意されていたロシアが2022年度分以降では除外され、新たにフィリピンが選択肢として加わっている(2023年度分でも用意されたはずだが、回答がなかったからか、公開資料では値の部分が空白となっている)。昨今の国際情勢をかんがみるに、今後ロシアは選択肢として用意されないのかもしれない。
↑ アジア地域の中でどの国がアメリカ合衆国にとってもっとも重要なパートナーであるか(一般人、択一)
↑ アジア地域の中でどの国がアメリカ合衆国にとってもっとも重要なパートナーであるか(有識者、択一)
一般人は2011年度になって初めて、有識者では2010年度に日中の逆転現象が起きた。これは中国の人口・資源を背景にした経済成長に伴う影響力の強化によるもの。1990年以降、とりわけ今世紀に入ってからの中国の値の伸びがそれを裏付けている。
ところが2012年度になると、一般人では日中の立ち位置が再び逆転し、日本が上位につき、有識者でも順位の変化こそ無いものの両国の差は急激に縮まった。この変動の理由については、米中関係の変化(悪化)に伴い、相対的に日本への政治的側面での再評価が行われたもの、そして2011年3月に発生した東日本大地震・震災に伴う米軍の救援作戦「オペレーション・トモダチ」によるものと考えられる(2011年度調査時点では震災関連の動きは反映されていない)。
その翌年の2013年度では、中国の動きは一般人では横ばい、有識者では大きな下落を示している。他方日本は一般人では大きく下落し、再びトップの座を中国に明け渡している。有識者ではほぼ横ばいで、中国との差は4%ポイントにまで縮小した。他方、一般人・有識者ともに韓国が大きく伸びている。
直近の2023年度では(有識者において)中国とインドで大幅な上昇、それ以外の国で下落が生じている。特にインドの上昇具合は異様にすら見えるほどで、中国も昨今のロシアによるウクライナへの侵略戦争におけるロシア寄りの姿勢を鑑みれば、首を傾げる値に違いない。別設問に関する記事でも言及したが、今設問に限らず多くの設問で有識者の対日感情だけでなく対韓・対オーストラリアなどの感情悪化とともに、中国とインドに対する急激な良好化が確認できる。設問そのものや調査対象母集団の選び方に違いはないことから、回答票に何か変化があった可能性はあるが、それを確認することはかなわない。
米国の有識者が考える日本への「パートナー認識の理由」は?
2023年度ではアメリカ合衆国の有識者にとって、日本はアジア地域の中でもっとも重要なパートナーと認識されたわけだが、その理由は何だろうか。その理由を自由回答形式で応えてもらった結果が次のグラフ。
↑ アジア地域の中で日本をアメリカ合衆国にとってもっとも重要なパートナーだとみなした理由(有識者、自由回答)(2023年度)
もっとも多いのは「貿易・経済関係」で33%が理由として挙げている。次いで「科学技術力」が28%、「軍事力・米国との軍事的関係」が17%で続く。見方を変えればアメリカ合衆国(の有識者)にアジア地域で重要なパートナーと認識されるためには、貿易や経済関係、そして科学技術力の維持発展、さらには軍事力そのものやアメリカ合衆国との軍事的関係の維持・親密化が必要不可欠であると考えてよいのだろう。他方、前回年調査では5%しかなかった「経済力」が13%と大きな値を示しているのは、注目に値すべき動きだろう。
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