図書館会員は根っからの本好き…米図書館会員の読書性向
2012/06/29 12:10
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年6月22日、アメリカの図書館や本好きな人、そして電子書籍に関する調査結果【Libraries, patrons, and e-books】を公開した。今回はその中から、図書館会員とそうでない人別・読書性向について見ていくことにする。
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今調査は2011年11月16日から12月21日において、アメリカ合衆国国内で生計を立てている16歳以上の男女に、RDD方式で選ばれた電話番号に対する電話による口頭インタビュー形式(英語・スペイン語を利用)で行われたもので、有効回答数は2986人。固定電話は1526人、携帯電話は1460人(うち固定電話を持たない人は677人)。インターネット利用者は2571人。統計結果には国勢調査の数字に基づいてウェイトバックがかけられている。なお「図書館会員」とは「図書館の会員(貸し出し)カードを持っている人」。原文では「Library card holder」だが、分かりやすい表記に直している。
「読書好きだから図書館会員になったのか」「図書館会員だからこそ読書好きなのか」。たまごとニワトリの話のようだが、図書館会員である者はそうでない者と比べ、読書が好きであることは容易に想像ができる。本嫌いが図書館でわざわざ本を借りるとすれば、何か他の特殊な用事によるものとしか考えられない。
過去一年間にさまざまな形態の本について、読んだ(聴いた)かを図書館会員・非会員で区分した上で尋ねた結果が次のグラフだが、数ポイントずつながらも図書館会員の方が読んだ経験ありとの回答が多い結果が出ている。
↑ 過去一年間に次の様式の本を読んだか(図書館会員であるか否か別)(米、2011年12月)
これを読んだ本の形態別では無く、目的…例えば自分自身の娯楽のため、時事問題のチェックのため、仕事や学業のためなど…別に区分したのが次のグラフ。
↑ 過去一年間に次の理由で本を読んだか(図書館会員であるか否か別)(米、2011年12月)
図書館会員は何か特別の事由でのみ、非会員よりも本を読む傾向が強いというわけではない。多種多様な目的において、本に目を通す機会が多いことになる。何かきっかけがあり、「それでは本を読んで調べようか」「面倒だから止めようか」「インターネットで調べてしまおうか」などの選択肢が頭に思い浮かんだ際、「本を読んで調べよう」という選択肢を選ぶ傾向が強いようだ。
原文ではこれらの傾向に加え、「読書のどのような点が好きかと尋ねられた際、会員は非会員と同じような回答をする。ただし『現実逃避』と『想像力を働かせる機会を与えてくれる』という点で、非会員よりも高い回答率を示している」との言及もある。想像力の豊かさと読書好きとの間には、因果関係はともかく相関関係はありそうだ。
ちなみに単純な読書数においても、当然のことながら会員の方が多い。
↑ 過去一年間の購読冊数(図書館会員であるか否か別)(米、2011年12月)
平均値では5割強増し、中央値に至っては2倍の値を示している。紙媒体の書籍だけではなく電子書籍なども含むとはいえ、いかに読書を愛しているかが理解できるというものだ。
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