映画料金、どこまで下げれば鑑賞回数は増えるか
2012/06/30 07:00
gooリサーチは2012年6月15日、映画館での映画鑑賞に関する調査結果を発表した。それによると調査母体中では、映画料金が現行の1800円から1500円に値下げされた場合、鑑賞回数が増えるとした人は2割近くだった。1000円に値下げした場合は5割強、800円なら2/3、500円なら3/4に達する。実際の映画館での鑑賞本数別にみると、年11本までのミドルファン以下の場合において、1000円までに値下げすると高い効果が得られるようだ(【発表リリース】)。
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今調査は2012年5月23日から28日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3189人。男女比はほぼ1対1、世代構成比は10代から70代まで10年区切りでほぼ均等割り当て。
【効果ナシどころかマイナス…「300円値下げで映画料金1500円」の試験早期終了へ】でも報じたように、以前映画料金の値下げによる来場客の増加を試みる社会実験が実施されたが、状況はあまり思わしいものでは無かった(もっともこの事例ではレイトショーなどを同時に取りやめており、本来実験では必要不可欠な「他の条件を極力揃える」ことを行わなかったのが一因ともされる)。
そこで今調査では「現行1800円の映画料金を●×円に下げたら、映画館での鑑賞回数は増えるか(ゼロの人は映画館に足を運ぶようになるか)」について尋ねている。具体的な金額としては、上記にあるように「TOHOシネマズ」が導入した「1500円」、サービスデーのみに適応される「1000円」、さらに安い「800円」、レンタルDVDの新作料金に近い「500円」の4パターンを提示した。
↑ 映画料金値下げによる鑑賞回数の変化(1800円からいくらに変わったら)
今件は一般論として「増えるか否か」であり、実際にはその時々の上映作品やお財布事情などにもよるところが大きい。とはいえ、1500円程度では大きな増加は望めないことが確認できる。
ところが1000円に値を下げると過半数、500円まで落とすと3/4以上の人が鑑賞数を増やすと回答している。制作・上映コストを考えれば常時500円で映画を上映というのはあまりにも無理があるが、結果は結果として受け入れねばならない。
これを「直近1年間の映画館での映画鑑賞実態数」別に再集計したのが次のグラフ。
↑ 映画料金値下げによる鑑賞回数の変化(1800円からいくらに変わったら)(過去1年間の映画館での映画鑑賞本数別)(「増える」「変わらない」の二択のうち「増える」回答者)
1500円の値下げではライトな鑑賞者にはあまり成果が無く、1000円まで下げることで大きな効果が期待できる。特に中堅層には7割以上の対象者から「鑑賞数を増やしてもよい」という回答を得られている。
今件項目は「映画料金を適正額に下げることで、今まで以上の来場客を見込める」「1000円以下に値下げしても、1000円の値下げ時と比べると劇的な変化は見込めない」などの状況が見て取れる。切り口を変えれば、現在の「映画館での映画鑑賞スタイル」では、現行の定価1800円、さらには1500円でも高いと考えている人が多いことになる。これは「映画を鑑賞する」スタイルが多様化した結果による、「映画館での映画鑑賞」の価値の相対的低下によるところが大きい。映画配給側は色々と再考する時期に来ているのかもしれない。
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