家庭内無線LANの利用状況(2011年分反映版)
2012/06/26 06:50
総務省は平成23年(2011年)の調査結果を反映させた通信利用動向調査を2012年5月30日に同省公式サイトにて公開した(【発表ページ:通信利用動向調査:報道発表資料一覧】)。これは日本国内を対象とし、インターネットや携帯電話に代表される情報通信関連の多様な調査結果を反映した資料集・報告書で、毎年夏頃に公開される【情報通信白書】のベースとしても用いられている。現時点では概要、及び統計データが収録されているe-Statへの展開のみで詳細な解説が施された報告書の類は完成していないが、今回はそのデータから「家庭内無線LANの利用状況」をグラフ化してみることにする。
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今調査の調査要件などは先行して掲載した【光回線浸透継続の一方で意外なモノの伸びも-自宅パソコンのネット接続回線の種類(2011年分反映版)】で解説済み。詳細はそちらを参考にしてほしい。
LANとは「Local Area Network」の略。特定エリア(大抵は一つの建物や住宅)において有線、あるいは無線でデータのやりとりができるように接続し、連動した利用ができるようにする仕組み。有線で結んだ場合は有線LAN、電波を使った場合は無線LANと呼ぶ。特に一般世帯ベースでは事前準備が比較的簡単なことや、室内で細かな移動をしてもインターネットがそのまま使用できるメリットもあり(接続線の付け替えなどをする必要がない)、無線LANの利用が増えている。
次のグラフは全世帯(インターネット利用世帯に限定しているわけではないので要注意)を対象にした、家庭内無線LANの利用状況だが、実に4割近い世帯で無線LANを使っているのが確認できる。
↑ 家庭内無線LANの利用状況(2011年末)
ナローバンド回線よりもブロードバンド回線のほうが導入率が高いが、これは単純に回線をブロードバンド化するにあたり、「便利だから」と一緒に整備した事例が多々あるものと思われる。無論、高速回線の方が多種多様なインターネットの恩恵にあずかれるため、その便宜性をフル活用すべく、機動性を高められる無線LANの導入を図った場合も少なくあるまい。
それがよくわかるのが下の3行部分。パソコン保有世帯よりもスマートフォン、そしてタブレット端末の方が利用率は高い。特にタブレット端末保有世帯は7割を超えている。これは【3G・4Gか、Wi-Fiか…米タブレット機などのネットへの接続方法】【米タブレット機では無線LAN利用者が圧倒的多数・iPadでは9割超え】のアメリカの事例にもある通り、室内でのちょっとした移動をした上での利用が多いタブレット端末では、無線LANを使うことで「ラジオや雑誌のように手軽にどこにでも持ち運びができ」、「通信料金をほとんど気にせずにアクセスできる」(自宅内の回線を共有して無線LAN化している場合)メリットがあるからに他ならない(余談だが当方もiPodTouchや携帯ゲーム機では無線LANを使っている)。
一方で利用しない・導入の予定すら無い人も(インターネットそのものをしていない人も含めて)5割強に達しているが、その理由は圧倒的に「必要性を感じない」というものである。
↑ 家庭内無線LANを利用しない理由(複数回答)
自宅でインターネットをするつもりが無い人、すでにパソコンにネットをつなげているが、モバイル系端末は自宅では利用しない人、事情はさまざまだが、必要性を感じないのなら、無理に整備する必要もない。一方で「導入作業が面倒」という人も1割強いるのが興味深い。複数回答ではあるが、約1割は「簡単に導入できるのなら無線LANを使ってもよい」と考え得ることになる。
これを世帯の住宅種類別に見ると、言葉通り「お家事情」が見えてくる。
↑ 家庭内無線LANを利用しない理由(複数回答)(世帯住宅種類別)
集合住宅では一戸建てと比べ、導入作業が面倒だったり、住宅事情で電波の届きが悪く、無線LANが使えない事例が多い。住宅周りでのハードルは個人ではどうにもならないことも多く、それが無線LANの普及を押しとどめている理由の一つとなる。
利用実態を想定する、あるいは【3G・4Gか、Wi-Fiか…米タブレット機などのネットへの接続方法】などにもある通り、自宅内でスマートフォンやタブレット機、特に後者を利用する際には、無線LANは大変重宝させられる。パソコンやゲーム機にも縦横無尽に活躍を見せる無線LANだが、今後タブレット機の浸透が進むにつれ、さらに普及度は上昇していくに違いない。
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