失業・貧困・内定無しの卒業…社会的に孤立するきっかけとは
2012/06/14 12:10
連合は2012年6月11日、人と人とのつながりに関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、「人が社会的に孤立するきっかけになるもの」としてもっとも多くの人が思い浮かべている事象は「失業」だった。8割近くの人が回答している。次いで「貧困」「就職先が決まらないままの卒業」が続いている。男女別では多くの項目で女性の回答率が高く、世代別では特に最高齢層の50代において「失業」「貧困」「一人暮らし・家族との別居」などの項目が他世代よりも高い値を示している(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2012年4月1日から4日にかけて携帯電話経由のインターネットリサーチ方式によって行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代から50代まで10歳区切りで均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。
人が「孤立する状態」にはいくつかの切り口がある。金銭的、物理的、情報的、そして社会的。住宅街に住み、人の姿を良く見かける場にあっても、言葉を交わす相手も無く、日々を一人きりでいるのと変わらない状態で過ごす。「社会的孤立」とはこのような状況だろう。人が社会的生物である以上、ある意味、物理的や情報的よりもキツい状態かもしれない「社会的孤立」のきっかけとして考えられるものを挙げてもらったのが次のグラフ。
↑ 人が社会的に孤立するきっかけになると思うもの(複数回答)
男女で多少の差異が生じる項目もあるが、最大の同意項目は「失業」という点で変わりがない。第二位の「貧困」、第三位の「就職先が決まらないままの卒業」も共通点の多い、あるいは連鎖して起き得る事象であり、見方を変えれば「人の社会的孤立は容易に起きる」ことを再確認させてくれる。
男女別に見ると、女性が「結婚や出産、育児による退職」で社会的孤立を恐れている、「一人暮らしや家族との別居」は女性の方が懸念度が多いにも関わらず、「離婚・別離」では男性の方が高い値を示すなど、結婚・配偶者との関係について、男女間での考えの違いが浮かび上がる。
これを世代別に見ると、また別の事情が見えてくる。
↑ 人が社会的に孤立するきっかけになると思うもの(複数回答)(上位五位、世代別)
「失業」「貧困」の上位二項目は歳を経るほど、値が高くなる傾向がある。つまりそれほど強い怖れを抱いているわけだ。多分に自分自身の可能性を通して想像した上で回答しているから(「自分が仮に失業したら、社会的に孤立するだろうか」などという具合)、やり直しが効く確率が小さくなる高齢者ほど、「社会的孤立」への懸念も大きくなる。納得のいく動きといえる。
今件はあくまでも回答者が「思っているもの」であり、必ずしもこの回答率の高低・順位がそのまま、実際の「社会的孤立要因」「孤立リスク」とイコールではないことに留意しなければならない。とはいえ、それぞれの可能性をイメージすれば、この回答率・順位にさほど違和感を覚えないことには、多くの人が同意をするはずだ。
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