若年層がさらに伸びる…米ツイッター利用状況
2012/06/07 12:00
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年5月31日、簡易ブログ・疑似チャット型ソーシャルメディアの「Twitter(ツイッター)」に関する、アメリカでの利用実態調査報告書【Twitter Use 2012】を公開した。今回はその中から各属性別の利用動向や、この数年間における利用度合いの移り変わりを見て行くことにする。
スポンサードリンク
今調査は2012年1月20日から2月19日にかけて、18歳以上のアメリカ合衆国在住者を対象としてRDD方式で選ばれた電話番号への電話による口頭調査(英語とスペイン語)で行われたもので、有効回答数は2253人。回答者のうち固定電話で回答した人は1352人、携帯電話は901人(うち固定電話を持たない人は440人)。回答者のうちインターネット利用者は1729人(76.7%)。国勢調査などの各統計調査結果を元にしたウェイトバックがかけられている。
今調査母体のうちインターネット利用者における、ツイッター利用率(ツイッターの利用経験がある人)は15%。男女別の差異は無きに等しく、世代・世帯年収・学歴・居住地域別ではいくぶんの違いが見受けられる。
↑ ツイッター利用者率(属性別)(2012年2月)(米、対インターネット利用者比)
世代別では圧倒的に若年層が高い値を示している。18-29歳層ではネット利用者の1/4強がツイッター経験を有している。一方で65歳以上はわずかに4%のみ。25人に1人の割合。
世帯年収別では低収入世帯の利用率が高いが、高収入層も高めで、逆に中堅層が低い結果が出ている。この動きは学歴にも連動しており、「低学歴と高学歴が高め、中堅の学歴が低い」という動きが確認できる。中堅層はむしろFacebookに首ったけ、なのだろうか。
目が留まる動きを見せるのは居住地域別。都市近郊者の方が利用頻度が高い。理由についてリリースでは特に言及は無いが、リアル(現実)との結びつきが強い使われ方をする場合が多く、多種多様なメディアを使えるFacebookの方が、ライトな感覚で利用できるツイッターよりも、地方都市居住者にはマッチしているのかもしれない(あるいはリアルタイム性の高い情報への必要度の違いか)。
ツイッターそのものの利用性向、利用者率は少しずつではあるが増加している。次のグラフは「日常的に利用している(問合せ前日に使った)」と「日常的程ではないが利用している(利用経験がある)」人で区分した、ツイッター利用者率の推移。
↑ ツイッター利用者率(米、対インターネット利用者比)
少しばかりぶれがあるものの、インターネット利用者におけるツイッター利用者率は増加の一途をたどり、さらに「常用者」の比率も増えている。直近では8%が常用者、7%が利用経験者という形。
この動きを「利用経験者区分(常用利用者含む)」「常用利用者のみ」それぞれについて、過去三回の動きを世代別に見たのが次のグラフ。
↑ ツイッター利用者率(世代別)(米、対インターネット利用者比)
↑ ツイッター常用利用者率(世代別)(米、対インターネット利用者比)
利用者全体だが、25-34歳でややイレギュラーが見えるものの、大勢では去年から今年にかけて利用者率の伸びがやや緩やかとなる一方、18-24歳の若年層が大きく飛躍している。これが全体の利用者率を底上げする主要因と見てよい。
他方「常用利用者」で見ると18-24歳の伸びは相変わらずだが、25-34歳・35-44歳層でも昨年から去年にかけて大きな伸びが見える。流れとしては「若年層は新規加入者も多く、常用者も大きく増えた」「中堅層は新規加入者はそれなり、常用者も大きく増加(利用者のコア化の進展)」「高齢層はゆるやかな伸び」という特徴が見えてくる。利用者全体は若年層でのみ大きく追加され、常用者は増加傾向が中堅層にまで及ぶという、世代で異なる動きをしているのは興味深い。
今件調査結果を元にした一部報道では「ブームに陰り」「影が薄くなったようにも見える」との注釈が踊った。しかしデータを限り限りでは、元々Facebookとは数字の上で比較対象とならない状況であり、そして少なくとも衰退的な動きは見受けられない。むしろ多種多様な事ができるFacebookとの使い分けが、今後も進んでいくに違いない。
■関連記事:
【1年足らずで普及率2倍の世代も・米ツイッター利用状況(2011年5月版)】
スポンサードリンク