定期配信の電子コミック誌、積極利用希望6%・条件次第は16%
2012/06/11 06:45
NTTレゾナントが運営するgooリサーチは2012年5月29日、「マンガ」に関するインターネット調査結果を発表した。それによると調査母体においては、コミック誌(マンガ雑誌・週刊誌)の電子版が定期配信の形で発行された場合、是非共購読したい人は6.0%であることが分かった。条件次第で利用したい人は15.7%に及び、合わせて2割強の人が利用を検討している計算になる。現在(紙媒体の)コミック誌を定期購読している人に限れば3割強、すでに有料の電子コミックを読んでいる人に限定するとこの回答率は5割近くに達する(【発表リリース】)。
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今調査は2012年5月15日から17日にかけて、15歳から44歳までの男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1939人。男女比は39.1%対60.9%、世代構成比は10代16.8%・20代33.1%・30代33.3%・40代前半17.0%。
以前【現在有料電子コミック購読者は5.6%、非購入者で「今後購読希望」は13.7%】で触れたように、今調査母体では有料電子コミックを購読している人は5.6%、無料版やお試し版まで合わせると5割近い人が電子コミックの購読経験がある。
↑ 電子コミックを読んでいるか(再録)
それでは「電子コミック」(特定作品などの単行本をデジタル化したもの)ではなく電子「コミック誌」が定期発刊された場合、どれほどの需要が想定できるのか。実現したとして利用したいか否かを聞いた結果が次のグラフ。全体では6.0%が(条件を問わず)利用したい、15.7%が条件次第で利用したいと回答した。
↑ コミック誌が電子化されて定期配信されたら利用したいか
設問では有料無料の設定は無く、単に「コミック誌が電子化されて定期配信」とのみある。つまり既存の「紙媒体」によるコミック誌のデジタル化のみを提示している。コンビニや本屋の店頭で見かけるコミック誌がそのまま電子版として読めたら……ということで、料金設定を考慮せずに「利用したい」とする回答が6.0%。
利用条件、つまり使える環境や料金、読者としての権利設定(一定期間特定誌を購読できるだけか、ダウンロードして複数端末でオフラインでも読めるか、あるいは会員制で一定期間好きなのを読み倒せるか、それとも無料・広告収入制か……etc.)などの各種条件次第では利用したいとする人が15.7%。一方で「利用したいとは思わない」拒否派も8割近くに達する。
条件別に母体を絞って統計し直すと、やはり有料化・デジタル化・コミック誌・マンガそのものへの経験・認証をしている人の方が、「デジタル定期コミック誌」への抵抗感は小さい。特にすでに対価を支払いデジタル書籍を読んでいる人は「条件次第」も合わせると5割近くが「購読したい」と答えている。
「現在コミック誌を読んでいない人」を母体とした、「コミック誌のデジタル化」に対する購読希望者は条件次第も含めて15.7%しかいない。これについては「元々コミック誌を読んでいないのだから、デジタル化しても興味を持ちにくいのは当然だ」とする考えの一方で、「デジタル化すれば15.7%もの人が(媒体こそ違えど)コミック誌に目を通してくれる」とする見方もできる。
それでは「コミック誌の電子化が実現したら利用したい」と回答した人は、どのような理由で「読みたい」と考えているのだろうか。最多同意意見として挙げられたのは「気軽にいつでもどこでも読める」。利用希望者の過半数に達していた。
↑ コミック誌が電子化されたら利用したい理由(利用意向のある人限定)(複数回答)か
電子化されればスマートフォンやタブレット機などで読みこんで、その高い機動力を活かした購読スタイルが実践出来る。欧米で電子書籍リーダーが大きく飛躍しているのも、そのメリットが要因の一つ。機動力の高さそのものは紙媒体の雑誌もさほど変わらないように見えるが、わざわざコミック誌「そのもの」を持ち歩かずとも、他の要件で必要なモバイル機を使えるのがポイント(第三位の「紙のコミック誌は持ち歩きが大変」も、その観点ではほぼ同意)。
その他「紙のコミック誌は読んだ後の処理に困る」「紙のコミック誌は資源の無駄遣いと思う」など、紙媒体としてのコミック誌のデメリットを挙げ、「だからこそそのデメリットが無くせる電子コミックで読みたい」とする意見が多いのが分かる。
紙には紙の、デジタルにはデジタルの長所がある。越えるべきハードルは少なくないが、デジタル化によるコミック誌の定期発刊の可能性が生まれた以上、「選択肢の拡充による”読者”層の広域化」を目指し、出版側は積極的にチャレンジする時期に来ている感はある。
今後さらにスマートフォンやタブレット機の普及率が上昇し、電子書籍リーダーのデファクトスタンダード的な機種が日本への本格的展開を始めれば、出版業界各社も重い腰を上げざるを得なくなるだろう。
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