現在有料電子コミック購読者は5.6%、非購入者で「今後購読希望」は13.7%
2012/06/08 06:50
NTTレゾナントが運営するgooリサーチは2012年5月29日、「マンガ」に関するインターネット調査結果を発表した。それによると調査母体においては、電子コミックを何らかの形で読んだ経験がある人は約半数に達していることが分かった。一方で有料サイトを利用して電子コミックを読んでいる人は5.6%でしかなかった。さらに現時点で利用していない人に、今後「有料」電子コミックを利用したいかを聞いたところ、同意を示したのは13.7%に留まっていた。男女とも20代後半から30代前半でやや大きめの値を示しているが、現状では有料電子コミックの購読ハードルは高いとの認識が多数を占めているようだ(【発表リリース】)。
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今調査は2012年5月15日から17日にかけて、15歳から44歳までの男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1939人。男女比は39.1%対60.9%、世代構成比は10代16.8%・20代33.1%・30代33.3%・40代前半17.0%。
以前【全体で8割近く、40代前半でも6割強は「マンガ好き」】で示したが、今調査母体では8割近くが(頻度はともあれ)マンガを読むと答えている。同調査の多くの項目では「コミック誌」という表現を用いており、紙媒体による雑誌を示唆しているが、この項目では単に「マンガ」との表記であり、電子系媒体も含めているものと考えられる。
↑ 普段マンガを読むか(再録)
そこで紙媒体ではなく、電子コミック(電子書籍全体では無く、電子書籍の中の一ジャンルとしての「電子コミック」であることに注意)を読んだことがあるかについて聞いた結果が次のグラフ。全体では「有料(も無料も)利用している」が5.6%、「無料のみ利用」が11.9%、「試し読み程度」が32.2%。合わせて約半数が利用経験者という結果。
↑ 電子コミックを読んでいるか
今調査母体は40代前半までを対象範囲としているため、全体値は世間全体とはやや差異が出る可能性もある(シニア層が領域外)。むしろ個々の世代・性別での動きに注目すべきだが、主にその視点で見ると
・若年層がやや多いが、無料・お試しレベルなら一定比率の利用者がいる
・有料サイトは女性、無料サイトは男性の利用性向が強い
・男性は比較的上の世代でも電子コミックを読む人が多い
などの傾向が確認できる。ただし現時点で電子コミック化されている作品は、紙媒体のそれと比べるとごく少数のため、ジャンルによる好き嫌いが購読性向に反映されている可能性があることを示唆しておく。
現状では「無料ならばそれなりに」「有料だと結構厳しい」読者の確保状況がうかがえる電子コミック(少なくとも今調査では)。それでは今後、電子書籍リーダーの進歩普及(例えばアマゾン発のキンドルの日本での本格展開)や、対応作品の本数増加、料金の支払い手段の簡易化や作品の廉価化、その他状況の改善が行われるという期待が成される今後において、有料の電子コミックを読みたい人はどれほどいるだろうか。「現時点で」有料電子コミックを読んでいない人に聞いた結果が次のグラフ。
↑ 今後、有料の電子コミックを読みたいか(現在有料電子コミックを読んでいない人)
全体では13.7%が「読んでみたい」と答えている。試算すると「全体比」では約12.9%になるため、電子コミックの有料サイト利用者は「5.6%+12.9%」で2割近くにまで増加する。
二つのグラフを見比べると、「現時点で無料・試し読み程度に電子コミックを利用している人」の比率と「今後有料電子コミックを読みたい人」の比率との間には、浅からぬ関係があるように見える。特に「20代後半-30代前半の積極性」「女性より男性の方が意欲的」の2点では傾向が似通っている。
昨今では各社が試験運用・実証実験も兼ねて、電子コミックの運用を始めている。【少年・男性向けコミック誌の部数変化(2012年1月-3月データ)】でも触れているが、【Jコミ】のような出版社を縦断する形での新しいコンセプトのサービスも生まれている。
今後は利用ツールや課金の上でのハードルを押し下げる努力が続けられつつ、電子書籍同様に今後少しずつ電子コミックも浸透していくことだろうし、そのような動きに期待したい。
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