スマホユーザーの3割強は「テレビを観ながらいつも操作している」
2012/05/31 06:50
博報堂は2012年5月24日、スマートフォンの保有・利用者に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、約1/3の人が日常的にテレビを観ながらスマートフォンを操作していることが分かった。「時々」の頻度も合わせると7割強に達する。またテレビを観ながら番組やCMで気になったことを検索する行為について、「時々」の頻度は4割の人が、「日常的に」では2割強、合わせて6割強の人が行っていた。テレビとスマートフォンの相性の良さが、改めて裏付けられた形となった(【発表リリース、PDF】)。
スポンサードリンク
今調査は2012年2月24日から27日にかけて、高校生から60代までの男女スマートフォン保有・利用者に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は49.5対50.5、世代構成比は10代3.4%・20代25.9%・30代33.7%・40代24.9%・50代9.4%・60代2.7%。
スマートフォンを利用している人が、どのような「ながら」行動をしているのか、情報源に接しているのかを、その行動頻度も合わせて答えてもらったのが次のグラフ。用意された選択肢の中でもっとも多いのは「テレビを観る」で、日常的な人は33.4%、時々の頻度では38.7%、合わせて72.1%の人が「スマートフォンを操作しながらテレビを観ることがある」としている。
↑ スマートフォンを触りながらどのような情報源に接しているか(スマートフォン保有者対象)
第二位以降は「有人・知人と会話」「パソコン」「店頭商品を見る」「電車・バスの広告や看板を見る」など、日常生活上でごく普通に行われているシーンが続く。もっともこれらの多くは「時々」の回答率が圧倒的で「日常的に」は「パソコンを見る」ですら14.7%でしかない。テレビとスマートフォンの相性の良さ、連動利用における頻度の高さが改めて認識できる。
それでは逆に、一番相性が良いように見える「テレビ視聴」をしながらのスマートフォン利用では、どのような行動がなされているのか。資料では4つほど事例を挙げ、それぞれの行動実践率が示されている。
↑ テレビを観ながらスマートフォンをどのように利用しているか(スマートフォン保有者対象)
「気になったことを検索する」は6割強、「日常的に」に限っても2割強。【「Wiiはどこに売っているの?」アクセス解析で見る、検索サイトの使われ方と臨機応変な対処法】のような実例や、【テレビと相性の良いケータイ検索・目当ては「タレント」と「お店」】などの調査結果にもある通り、テレビ上での情報不足をインターネットで補完するという動きは、前々からのものだった。それがスマートフォンの登場で「手軽に」「大きな画面で」「即時に」行える環境が整備され、多くの人が実践している結果が出た形となった。
またリアルタイム性の高い情報を提供するテレビと、ソーシャルメディアとの連動性も注目に値する。俗に言う「実況」に近い、テレビの感想をその場で逐次、あるいは視聴後の感想文を間をおかずに投稿するなどし、読者との一体感を得ようとする人が3割近くに達している。この観点ではテレビ番組やCMは、そこから得られる情報そのものの価値もさることながら、他人と共有できる情報のソース・橋渡し役としての役割も果たしている。
ビジネス的には「気になるお店や場所に検索し”行く”」や「気になったものをスマートフォン経由で購入する」も気になるところ。テレビで得られた「気付き」をモチベーションが下がらないうちにスマートフォンに反映させ、購入や訪問などの実態行動を引き起こす。テレビ視聴で生じた好奇心と、その好奇心と関連する行動との間のハードルを低め、距離感を縮めるのが「手軽で」「どこででも使える」スマートフォンと考えれば、十分に納得がいく。
テレビを視聴する環境を考えれば、「テレビ視聴の気付き」と「実態行動」との連動性はタブレット機も変わらず、操作性や画面構成の上ではむしろタブレット機の方が上。だからこそ【スマートフォンとタブレット機、ネット通販での買い物性向を探る】などにもある通り、ネット通販での購入性向はタブレット機の方が高い(少なくとも一因以上の重みはある)。むしろスマートフォンは「テレビとの関連性」ではその機動力の高さを活かし、「検索した結果をそのまま保存して現地に足を運ぶ」などのような、外部行動型の関連性に重点をおいた方が良いのかもしれない。
スポンサードリンク