この一年で海外展開加速は4割近く、理由は市場成長性

2012/05/23 12:00

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海外展開経済成長フォーラムは2012年5月18日、上場企業経営者に対する経済成長と今夏電力不足への対応に関する調査結果を発表した。それによると調査母体企業においては、直近1年間で海外展開が加速したとする企業は4割近くに達することが分かった。事由としては「海外市場の方が成長を見込める」がもっとも多く2/3強を占めている(【発表リリース】)。



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今調査は2012年4月20日から27日にかけて国内上場企業経営社(者)201社に対して行われたもので、業種分布は製造業34.3%・その他サービス業11.9%・小売業10.4%・卸売業6.5%など。

業務展開事由、商品の性質、市場動向、為替レートの問題など、多種多様な理由で、自社事業の海外展開を行う、加速する企業は増加している。今件調査母体でも、38.9%の企業が「この一年で自社の海外展開は加速した」と答えている。

↑ 直近1年間で自社の海外展開は加速したか
↑ 直近1年間で自社の海外展開は加速したか

注意して欲しいのは「変わらない」が「海外展開はしていない」を意味しないこと。すでにある程度の海外展開をしていて、その展開度に変わりはないという意味合いも多分にある。「加速」が4割近く・「同等」が6割近くで「減速」がほとんどないことを併せ持って考えると、この1年間に国内回帰の動きはほとんどなく、海外展開の歩みを維持・速める決断をしなければならない状況の変化があったものと思われる(震災、市場動向、為替、無為無策などが要因であることは容易に想像がつく)。

それでは「加速した」のはどのような理由からなのか。複数回答で尋ねたが、回答はほぼ2つに集中してしまった。

↑ 海外展開加速理由(加速回答社のみ)(複数回答)
↑ 海外展開加速理由(加速回答社のみ)(複数回答)

海外展開を速めた企業の2/3強は、その理由として「市場成長性」を挙げている。「国内市場の成長性が低いのはなぜか」を考えると、「市場成長性」には複数の事由が(間接的に)内包されるため、多数意見化したのは理解ができる。

第二位は「日本の関連企業や顧客が海外に拠点を移した」。表現を変えれば「周囲に追随」。BtoB中心の企業の場合には、大手顧客の後を付いた方が都合がよい場合も多い。関連企業との連動性にしても同様。

「円高が続いている」はまだ少数だが、これは「上場企業としては理由として想定しなくても良い程度に収まっている」の他に「無視できるレベルでは無いが、すでに想定している」からと思われる。むしろその前の「海外の方がコストが安い」の回答率が4.1%しか無かった方が意外ではある。円高が進んでいたとしても、二次的コストや中長期的なリスクの費用計算をすれば、一概に「海外低コスト」とは言い難い事実に、多くの企業が気がついているのかもしれない。


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