高機能だから? 「今すぐ情報が欲しい」アクションはスマートフォンユーザーが上

2012/05/21 12:00

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携帯電話アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年5月7日、インターネット接続機能を持つ携帯電話と「リアルタイムで、今その場で欲しい情報を手にしたいとの需要」(要は「ジャストインタイム」、必要なものを・必要な時に・必要な量だけ的な需要)に関する調査報告書【Just-in-time Information through Mobile Connections】を発表した。今回はその中から、「スマートフォン所有者とフィーチャーフォン(スマートフォン以外の一般携帯電話)における『情報のリアルタイムな需要・取得性向の違い』」についてチェックを入れることにする。



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今調査は2012年3月15日から4月3日にかけてRDD方式で選ばれた電話番号に対して電話によるインタビュー形式で、アメリカ国内に住む18歳以上の男女を対象として英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2254人。回答した電話のうち固定電話は1351人、携帯電話は903人(そのうち固定電話を持たない人は410人)。インターネット利用者は1803人、携帯電話(スマートフォン含む、特記無き限り以下同)所有者は1954人。回答結果には国勢調査の値によるウェイトバックが行われている。

冒頭で触れたように携帯電話における普及率の向上と、インターネット接続を容易にした環境整備は、人の「情報への願望」における姿勢に小さからぬ変化をもたらした。移動中でもリアルタイムで情報を取得し、発信できる環境が言葉通り「手のひらに納まる」ことで、人々の情報との接し方、要望は変わりつつある。

今調査では現状認識として、携帯電話保有者(調査母体の86.7%)に対し、住宅内やオフィスなどのような一か所に留まらなくとも、情報を取得できる状況に際し、どのような行動をしているかについて確認している。世代によって格差、特に40代と50代の間に世代間格差が見られるが、多種多様な状況・情報を欲する場面において、携帯電話によるインターネットアクセス機能が用いられていることが分かる。

↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定)
↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定)(再録)

この結果は「フィーチャーフォン(904人)」「スマートフォン(1050人)」双方を合わせたもの。それではそれぞれ別個に区分した上で再確認したらどのような値が出るだろうか。

↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定・スマートフォンとフィーチャーフォンそれぞれの保有者全体に対する比率)
↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定・スマートフォンとフィーチャーフォンそれぞれの保有者全体に対する比率)

先の世代別同様に「困った時の対策・手立て」は「わらをもつかむ思い」ならぬ「携帯電話を操る思い」であり、メディアによる差異はほとんど見られなかった。しかしそれ以外の項目では両者間に大きな違いが生じている。フィーチャーフォンでも何とか出来そうな「待ち合わせ場所の調整」は比較的高い値を示しているが、それ以降になると画像・操作処理に長けたスマートフォンが、圧倒的に高い割合を示している。

「高機能のためスマートフォンでは利用ハードルが低い」ので「気軽に使えるから使う人が増える」結果、「利用者率が高い」ということだろう。「鍋でガスコンロを使い、火を通し続けて一時間かけて鍋料理を創るのはしんどい」「電子レンジを使えば入れっぱなし、しかも15分の調理時間で済むから、創ってももいいかな」という例えが感覚的に近しい。

ちなみにこれを回答者の居住エリア別に見ると、また違った側面が現れる。

↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定、居住地域別)
↑ 過去30日間に次のような理由で「調べたいことがある」と思った時に自分の携帯電話でその内容を調べたことがあるか(米、2012年3-4月、携帯電話保有者限定、居住地域別)

都市圏居住者の方がせっかちなのか、それとも緊急性が高い状況に追いやられることが多いのか、全般的に「都市圏の方がリアルタイムでの情報取得」機会率が高い。近郊でも都市圏とさほど変わらないが、郊外では利用率がかなり低くなっている。

元記事ではこの傾向について、単に事実のみを伝えて解説はしていない。周囲環境の対応や、生活習慣的な時の流れの違いが、携帯電話における「即時情報取得」の必要性にも差異を生み出しているのかもしれない。


■関連記事:
【ツールを使ったコミュニケーションは「通話」から「メール」「サイト」へ(2011年版情報通信白書より)】



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