アメリカにおけるタブレット機と「ながら」の傾向
2012/05/02 12:00
アメリカの調査機関Nielsenは2012年4月27日、タブレット機やスマートフォンなどのモバイル端末の動向を記した「State of the Media」のダイジェスト記事を公開した。そこにはアメリカのタブレット機保有者における、日常生活での「ながら」行動の傾向が記されていた。今回はその点にスポットライトをあてることにする(【Report: U.S. Media Trends by Demographic】)。
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今件該当項目は「Mobile Connected Device Report(Q4 2011)」からの抽出とあるが、該当レポートは現時点では未公開。前期2011年Q3の分はすでに【公開済み】で、それによると「米国内に住む13歳以上のタブレット機や電子書籍リーダーや各種モバイル端末を持つ人7692人を対象にした調査結果」とあるため、今件Q4分もほぼ同じ規模による調査の結果と推測される。
モバイル端末はその機動力の高さから、他の行動と並行して操作利用する「ながら」利用の比率が高いことでも知られている。今件はタブレット機利用者に、日常生活のうちもっとも相性のよいであろうテレビ視聴の間の「ながら」行動性向を尋ねたもの。
↑ テレビとタブレット機との「ながら」関係(米13歳以上、2011年Q4、タブレット機保有者限定、Nielsen)
タブレット機を持っている人の6割強は、テレビを観ながらメールのチェックをしている。つまり少なくとも6割はテレビ視聴の間に自分のタブレット機を手元においていることになる。また、属性による違いは無い……どころかシニアほどメールチェック率は高く、少々意外感さえ覚える。
全般的には番組・宣伝を問わずにSNSへアクセスしている人は多い。あるいはリアルタイムでいわゆる「実況」的なモノを楽しんでいるのかもしれない。男性より女性、シニアより若年層の方が利用率が高いことを考えると、この属性の人達が単にSNS好きだけでなく、「時間の共有」を望んでいる雰囲気がある。
プロスポーツの得点確認、つまり試合経過への需要が高いのは当然として、観ている番組に関する情報を確認したい人が多いのも目が留まる。視聴番組が「気付き」となり、かき立てられた好奇心を充足するため、手元のタブレット機でネットにアクセスするものと考えられる。
性別ではスポーツなど番組とは直接関係が無い事柄、間接的な情報は男性、コミュニティ回り(他人との意思疎通)や直接自分の行動に関係するもの(クーポンや商品情報)では女性の方が高い利用率を見せる。テレビの見方、関心を持つポイントの違いがそのままタブレット機への利用にも反映されている。
世代別では押し並べて若年層ほど利用率が高い。今件は全体比ではなく「タブレット機保有者」を対象にしていることから、たとえ保有者でもシニアは利用性向の上で(テレビとの連動性では)消極的であることがうかがえる。一般的にテレビ視聴そのものはシニア層の方が時間も長く積極的であるだけに(【アメリカ人がいつテレビを見ているのかがひとめで分かる図】)、惜しい気がしてならない。唯一電子メールの確認だけは高齢者の方が利用率が高いのが、ポイントのようにも見えるのだが……。
今後日本でもスマートフォンやタブレット機の普及率がさらに高まるにつれ、この「ながら」行動は確実に重要な課題となる。研究などが先行しているアメリカの事例は、社会文化的な違いがあるとはいえ、十分以上に参考になるといえよう。
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