電子書籍が先か読書好きが先か…米電子書籍リーダーの有無と読書性向
2012/05/01 06:45
アメリカ合衆国内の調査機関のひとつ【Pew Research Center】は2012年4月4日に、電子書籍を中心とした、同国内での読書性向における調査報告書【The Rise of E-Reading】を発表した。モバイル端末、とりわけ電子書籍リーダーの登場・普及で大激変のさなかにある、米国の読書の現状をかいまみられる数々のデータが盛り込まれている。今回はその中から「電子書籍購読の是非と、読書好きの関係」にチェックを入れることにする。
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調査要項の詳細は先行して掲載した記事【テクノロジーは読書のアプローチに…デジタル機器と米の読書性向との関係】で解説している。詳しくはそちらの記事で確認をしてほしい。
【去年の年末年始に大上昇…米電子書籍リーダーの保有率推移の詳細】などで触れているが、電子書籍リーダーの普及率は2割近くに達している。
↑ 電子書籍リーダー保有率(各属性内、米)(再録)
また【全体約3割、50歳で生じる大きなギャップ…米電子書籍購読者の割合】で解説しているように、専用ツールの保有の有無を問わず、電子書籍を読んでいる人は3割近くに達している。
↑ 過去1年間に電子書籍を読んだ人の割合(米、2012年1-2月、18歳以上、各属性内比率)(再録)
専用リーダー普及率・利用率共にまだ少数派ではあるが、電子書籍購読者には「読書好き」の傾向がある。次のグラフは電子書籍の購読者と非購読者それぞれにおける、過去1年間の書籍読書数(電子書籍含む)を示したものだが、平均値では購読者24冊・非購読者15冊となり、約6割もの差が出ている。
↑ 過去一年間の「書籍の」読書数(2011年11-12月、電子媒体含む)(冊数)
また、中央値では購読者13冊・非購読者6冊。購読・非購読者それぞれにおける平均値と中央値の開きを見ると、電子書籍購読者は全体的に「それなりによく読書をしている人」で占められている一方、非購読者は「非常に読む人」と「あまり読まない人」に分かれており、前者が平均値を引きあげているのが見て取れる。
「電子書籍購読者の方が読書好き」という傾向は、どのような動機でも共通しており、「(ほぼ)毎日読む人」の割合は購読者と非購読者間で15ポイントほどの差異を見せている。
↑ (ほぼ)毎日該当理由で書籍を読む人の割合(2011年11-12月、電子媒体含む)
特に目的によって読書好きの割合が変わるということは無い。
なおレポートでは電子書籍非購読者と比べ、電子書籍読者は「現実逃避にもなるし想像力をかき立ててくれる。だから読書が好き」と読書好きな理由について説明する場合が多いとのこと。
今件はあくまでも「電子書籍購読者の方が読書好きが多い」であり、「電子書籍を読むと読書が好きになる」までは証明していない。むしろ「元々読書好きだから電子書籍にも興味関心が沸き、購読している」という流れの方がスマート。このあたりの流れは【読む機会はパソコンが上、しばしば読むのは…米媒体別電子書籍購読性向】と似たような話といえよう。
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