独特の「オトナ語」、使う人は4割強・使う理由は「短い言葉で伝えられる」
2012/04/30 06:45
ライフネット生命保険は2012年4月25日、社会人が使う独特な言い回しを意味する「オトナ語」に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、「オトナ語」を使う事がある人は4割強に達していることが分かった。使う理由としては「短い言葉で伝えられる」がもっとも同意する声が多く、次いで「コミュニケーションの円滑化」「周囲が使っている」などが続く。一方使わない人の理由最上位には「周囲に使っている人が少ない」がついている(【発表リリース】)。
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今調査は2012年1月20日から27日にかけて、携帯電話経由のインターネット調査にて会社勤めをしている人に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代・30代・40代でほぼ均等割り当て。
大人、特に一般企業などで働く社会人において良く使われる、独特な言い回しを「オトナ語」と呼ぶとのことだが、この「オトナ語」について調べたのが今回の調査(結果)。以前【「オファー」「プロパー」「ペンディング」……カタカナ語の「オトナ語」、どれだけ使われてる?】などで紹介した事例は「職場で”使われている”オトナ語」であり、主体は周囲であって回答者自身では無かった。今件では回答者自身が使っているかいないかを尋ねている。
↑ 自分自身が「オトナ語」を使う(話す・メールする)ことはあるか
使う派対使わない派は大体45対55程度。強度の肯定が1割足らずなのに対し否定は2割近くに達していることから、少なくとも今調査母体では「オトナ語」の本人利用については否定的に見える。
そこで使う人、使わない人それぞれにその理由を尋ねることにした。まずは使う人の理由。
↑ 「オトナ語」を使う理由(複数回答、使う人限定)
最上位は「短い言葉で伝えられる」。「オトナ語」には省略系が多く、必然的に口にする言葉も短くて済む。次いで「コミュニケーションが円滑に進む」とあるが、これは「オトナ語」がややフランクな印象を持つため、砕けた会話として場を形成しやすいことを意味する。また専門用語的なものを用いた場合、相手との間で共通の認識・仲間感を得ることも可能となる。
「オトナ語」には曖昧な意味合いを持つ物も多い。したがって「露骨な表現が和らぐ」「従来の日本語では伝えきれない言葉がある」などが上位にくるのも理解できる。ダイレクトな言い回しでは相手に誤解すら与えてしまうかもしれないからだ(例えば「リスク」と「危険性」とでは本来同意ではあるが、ニュアンス的には後者の方が強い、致命的な結果の印象を受ける)。
一方、使わない理由の最上位には「周囲に使っている人が少ない」がついている。その割合、約4割。
↑ 「オトナ語」を使わない理由(複数回答、使わない人限定)
「自分が」では無く「周囲が」使わないから自分も使わない。これは「オトナ語」がそれなりに相手にも認識された内容であることを前提としていることがすけて見える。職場で皆日本語を使っているのに、自分だけわざとエスペラント語を使い、意思疎通に困難を覚えるのはあまり得策ではない。また、少数派に追いやられることによる「引け目」も多分にあるのだろう。
次いで第二位の「正しい言葉づかいを知らない印象がある」から第五位までは、従来「メリットが生じるからこそ使われるはず」の「オトナ語」の利用で、かえってデメリットが生じかねないとのリスクを抱き、それが原因で使っていない事が分かる。「役に立つ」はずの道具が「役に立たない」どころかトラブルのもとになるのなら、使うはずもない。
「オトナ語」を使う人も使わない人も、それぞれ独自の理由を持っている。全般的にはいずれの事例にせよ、「周囲から浮きたく無い、周囲との関係を良くしたい」との想いが共通認識として有るように思える。「オトナ語」も「オトナ”語”」という言い回しから分かるように、言葉の一種(ある意味方言のようなもの)であり、相手に自分の意志を伝え、意思疎通を快適なものとできるか否かが第一義的なものとなる(効率や副効果などは二の次)。
相手に伝わらなければ、言葉としては意味が無い。「オトナ語」を使う際は、まず最初にその点に注意し、その上で使いこなしていきたいものだ。
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