「午後イチ」「たたき台」「ポシャる」……擬音や疑似表現、省略語の「オトナ語」、どれだけ使われてる?
2012/04/27 12:10
ライフネット生命保険は2012年4月25日、社会人が使う独特な言い回しを意味する「オトナ語」に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、「オトナ語」のうち擬音や疑似表現、省略語を用いた言い回しについて一番良く自分の職場で使われているものは「午後イチ」で、60.8%の人が利用されているという結果が出た。次いで「ぜんぜんOK」「たたき台」などの言い回しが続いている(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
今調査は2012年1月20日から27日にかけて、携帯電話経由のインターネット調査にて会社勤めをしている人に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代・30代・40代でほぼ均等割り当て。
大人、特に一般企業などで働く社会人において良く使われる、独特な言い回しを「オトナ語」と呼ぶそうだが、この「オトナ語」について調べたのが今回の調査(結果)。オトナ語には大きく「カタカナ語や外来語を由来とした言い回し(「リスク」や「リソース」など)」と、「擬音や疑似表現、省略語を用いた言い回し(「午後イチ」「なるはや」など)」の二種類に大別される。今回はそのうち後者、「擬音や疑似表現、省略語を用いた言い回し」にスポットライトを当てる。
全員に対して自分の職場で使われている(少なくとも職場で聞いたことがある)「擬音や疑似表現、省略語を用いたオトナ語」を答えてもらったのが次のグラフ。トップには「午後イチ」で60.8%の人が同意を示していた。
↑ 職場で使われているオトナ語(擬音や疑似表現、省略語を用いた大人的言い回し)(複数回答)
「午後イチ」とは「午後一番で」を意味し、一般的には午後の就業開始時間(午後一時)を意味する。ただし職場内限定で使われた場合は、その職場内ルールに従う場合が多いので留意を要する。そしてフリーランス系職業の人達のやりとりの場合、実質的に午後二時、午後三時を意味する場合もありうる。この言い回しは汎用的なレベルでの浸透度のようで、6割強の人が「職場内での使用」を認識している。
次いで多いのは「ぜんぜんOK」。「全然」は「全然-ない」のように直後に否定系の言葉がつく形で用いるのが正しい使い方だが、ここでは「超」「非常に」など「強い意味合いでの肯定」的な使われ方をしている。類似使用法として「ぜんぜん大丈夫」などがあり、相手に意味は伝わるものの、怪訝な顔をされるリスクは否定できない。
その他「たたき台」「昨日の今日」「ポシャる」「落としどころ」などが4割超の使用率、「あいみつ」「-に毛が生えた程度」「てれこ」などが2割超を示している。ちなみに「てれこ」とは(カタカナで「テレコ」では無く)「入れ違い」「あべこべ」などを意味する。歌舞伎での言い回し・専門用語が一般化したという説が濃厚である。
これを回答者世代別に再整理したのが次のグラフ。
↑ 職場で使われているオトナ語(擬音や疑似表現、省略語を用いた大人的言い回し)(複数回答)(上位10位+α、世代別)
差の付き方に違いはあるが、ほぼすべての項目で「歳を経るほど高い回答率」を示しているのが分かる。職場には同世代が集まる可能性が高いことを考えると、職場経験の中でこのような「オトナ語」を自然に習得し、慣れて行くようすがうかがい知れる。
一方使用度そのものは低いものの、「そもそも論」「なるはや」のような「若年層ほど高使用率」の「オトナ語」があることにも注目したい。グラフへの反映は略したが「オリテル(折り返し電話をする)」も同じような傾向を見せており、省略語の一部に「若年層高使用率」の傾向があるようにもみえる。
いずれにしてもいわゆる「オトナ語」は知った間柄では容易に通用しうるし、通じなくてもその場で言い換える、確認すれば済むまでの話ではあるものの、浅い関係にある相手、目上の立場にある人には、出来れば避けたい表現には違いない。ビジネス上の会議においてスラングで発言するようなものだからだ。下手をすると意思疎通ができず、トラブルの元にもなりかねない。そして使い慣れていると「つい」という場合がある。くれぐれも注意して欲しい。
スポンサードリンク