震災直後に決意した防災対策、どれだけ実践した?
2012/04/25 12:00
サーベイリサーチセンターは2012年4月17日、同年4月3日に発生したいわゆる「爆弾低気圧」に関する調査結果を発表した。爆発的に発達する低気圧のことを指す「爆弾低気圧」による、猛烈な暴風雨が発生し得ることを受けて、企業や学校などがいかなる対応を見せたのかに関し、災害対策などの面で検証をした貴重なレポートである。今回はその中から、2011年3月に発生した東日本大地震・震災直後の防災意向と、ほぼ一年が経過した直近における実践率について見て行くことにする(【発表リリース】)。
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今調査のうち直近データについては2012年4月6日から11日にかけて、首都圏に居住する20歳以上男女のうち、同年4月3日午前10時時点で首都圏にいた人に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2158人。
サーベイリサーチセンターでは震災直後に、今後の防災対策意識について尋ねており、それと今回の防災対策「実施」率とをかぶせたのが次のグラフ。震災直後における「対策の決意」と、1年が経過してその決意が「どれだけ実行されたか」を概算的にではあるが知る事ができる。
↑ 震災直後の防災対策に関する意向と実際に行った割合(両設問回答者は同一人物に有らず)
震災直後の防災対策では「非常用持ち出し品の用意」を考えた人がもっとも多く5割超、次いで「家族との連絡方法の事前決定」、そして「家具転倒防止のための固定」「家族がばらばらになった時の集合場所をあらかじめ決めておく」が続き、ここまでが4割超えの回答となる。一方で「何もしない」は9.1%でしかない。
ところが2012年4月にこれらの項目のうち、どれほどを実践しているのかを聞いたところ、「非常用持ち出し品の用意」は3割強の人が実施しているものの、対策以降項目としては第二位だった「家族との連絡方法の事前決定」は18.2%しか実施されていない。
同じように家族との事前の情報確認項目「家族がばらばらになった時の集合場所をあらかじめ決めておく」も13.2%でしかなく、いわばソフトウェアの面での対策実行率が低いことがわかる。また「何もしていない」も3割を超えており、震災直後には色々とやるつもりだったが、一年の経過の中で忘れてしまった、後回しにされている状況が目に留まる。
これを「震災時の意向率」に対する「対策実行率」の比率、つまり「やろうと考えてい人のうちどれだけが実践したか」(厳密には同一人物の回答では無いのでやや語弊があるが、統計的な比較で、という意味にしておく)を算出したのが次のグラフ。
↑ 震災直後の防災対策に関する意向所有者率に対する、防災対策実施者比率(上位15位)(両設問回答者は同一人物に有らず)(※横軸は最初のグラフと同じ並び)
「非常用持ち出し品の用意」「家具転倒防止のための固定」「風呂に常時水を張る」「消火器・水入れバケツを用意」など、比較的すぐに実行できるハード面では、実践率は高い。しかし直上で触れたように情報面・ソフト面での実践率は低く、2-3割に留まっている。唯一「幼稚園・小学生児童の引き取り方法確認」は高い値を示しているが、これは先の震災(特に津波災害)で大きく問題視されたこと、そして子供に対する事象であることも小さからぬ原因と思われる。
ハード面の対策は、大抵において一度実施してしまえば後は最低限のメンテナンスで事が足りるため、きっかけとモチベーションがあれば比較的容易に実施できる。しかしソフト面は一度実施した後も定期的な確認をし、更新をしていかないと「いざ」という時に役に立たない。さらに全般的にソフトはハードに比べて(触れない、見えないということで)軽視されやすい。
防災対策に関しては、ハード同様ソフトにも十分以上に配慮してほしいものだ。
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