急増するスマホとタブレット、漸減するデスクトップパソコン…米デジタル機器保有率推移
2012/04/24 06:45
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年4月13日、アメリカにおけるモバイル端末経由も含めたインターネットの普及状況や、整備環境に伴って生じる格差などを絡めた調査報告書【Digital differences】を発表した。中長期に渡る利用率の変化や利用性向、さまざまな条件下で生じるデジタルデバイド、インターネットに絡んだ人々の心理傾向を推し量れる、興味深いデータが多々見受けられる。今回はその中から「主要デジタル機器の保有率推移」にチェックを入れることにする。
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今調査(最新部分)は2011年4月26日から5月22日にかけてアメリカ国内に住む18歳以上の大人に対して、電話による音声インタビューで英語・スペイン語により行われたもので、有効回答数は2277人。電話番号はRDD方式で抽出されたもので、回答者が回答に用いた電話のうち固定電話は1522人、携帯電話は755人(うち固定電話を持たない人は346人)。調査結果に対しては国勢調査に基づいたウェイトバックが行われている。なお一部のデータはそれより新しい時期(最新は2012年2月の携帯電話所有に関するもの)で取得されたものだが、調査そのものはほぼ同一の手法が用いられている。
直近のデータでは全体の約8割がインターネットを利用しており、いわゆるデジタルデバイド(デジタル技術格差)が世代・年収・学歴によって発生しているようすが見て取れる。
↑ インターネット利用率(米、18歳以上)(属性別)。【米インターネット利用率推移】から、再録
それでは大人全体を母体とした場合、主要デジタル機器の保有率はどのような変化を遂げているのだろうか。携帯電話の所有率が漸増状態にあることは誰の目にも明らかだが、ゲーム機やノート系PC(パソコン)、そしてタブレット機などの動きも気になるところ。
↑ 各機器保有率(米、18歳以上)
ノート系PCの機能が向上し、デスクトップPCにも負けない高性能を持つに至り、デスクトップPCの保有率は漸減。2011年には逆転現象を起こしている。この傾向は中長期的な流れであり、あと数年もすれば決定的な差となって現れることは容易に想像できる。
興味深いのはMP3プレイヤーの動き。順調に伸びていた様子が2009年あたりから上昇の動きを止め、直近では漸減の流れすら確認できる。今後どちらにぶれるかはまだ未知数だが、成長分をスマートフォンに「食われた」感は否めない。
また、タブレット機や電子書籍リーダーだが、この1、2年で急激に成長しているようすがうかがえる。もっとも新しいデータは2012年1月のもので、双方とも19%。その一つ前の調査2011年8月では電子書籍リーダーが9%・タブレット機が10%だったので、半年足らずでほぼ倍増した計算になる。数ポイントのぶれがあったとしても、大きな飛躍には違いない。
レポートでは参照記事として、2009年8月時点での今調査母体より下の世代、つまり17歳以下の動向について、次のデータを提示している。
↑ 各機種保有率(米、2009年8月、12-17歳)
さらなる幼少期の動向については【テレビは98%・携帯ゲーム機は44%…米幼児世帯のデジタルアイテムなどの普及率】などでまとめてあるが、いずれの世代も保有制限や財力の問題があれど、大人に負けず劣らぬの保有率を示しているのが分かる。
デジタル機器が世の中に満ちあふれている昨今、物心つく頃からそれらに囲まれて育った「デジタルネイティブ」な子供達が歳を重ねるに連れ、大人におけるデジタル機器の保有率もさらに底上げされていく。それらの人達にとって「保有すること」は当たり前であり、むしろそうでない人の方が少数派となる。
その過程でデスクトップPCとノートPCのように立ち位置が入れ替わるもの、タブレット機のように大きく飛躍するルーキー的存在も生まれてくる。主要機器の今後の浸透ぶりを想像し、その結果として関連市場がいかなる変化をとげるのか。考えるだけでも楽しくなってくるというものだ。
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