米インターネット利用率推移
2012/04/20 12:10
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年4月13日、アメリカにおけるモバイル端末経由も含めたインターネットの普及状況や、整備環境に伴って生じる格差などを絡めた調査報告書【Digital differences】を発表した。中長期に渡る利用率の変化や利用性向、さまざまな条件下で生じるデジタルデバイド、インターネットに絡んだ人々の心理傾向を推し量れる、興味深いデータが多々見受けられる。今回はその中から「インターネット利用性向の推移や、属性別利用率」にチェックを入れることにする。
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今調査(最新部分)は2011年4月26日から5月22日にかけてアメリカ国内に住む18歳以上の大人に対して、電話による音声インタビューで英語・スペイン語により行われたもので、有効回答数は2277人。電話番号はRDD方式で抽出されたもので、回答者が回答に用いた電話のうち固定電話は1522人、携帯電話は755人(うち固定電話を持たない人は346人)。調査結果に対しては国勢調査に基づいたウェイトバックが行われている。
まずは1995年以降のインターネット利用率。原文には「who use the internet,over time」とあるので、アクセス端末を持つ人では無く、日常的にインターネットを利用している人(利用ツールを問わず、ブロードバンド・ナロードバンドいずれでも条件を満たす)と見なしてよい(学校などで使える場合も含む)。
↑ インターネット利用率推移(米、18歳以上)
一番古いデータ、1995年時点ではわずか14%。前世紀末、2000年にようやく50%に達し、今世紀に過半数の領域に到達。2000年当時のPew Research Centerのインターネットに関するレポートでは「多くの人はインターネットの必要性を感じず、技術革新に慎重で、あるいはインターネットに関して聞き及んだことについて不安を抱いている(ので利用していない)」という意見が寄せられている。
一方で今世紀に入ってから、特にこの5、6年は伸び率が低下しており、普及臨界点に達した感は有る。どれほど廉価で安全性が向上し便宜性が高まっても、多種多様な利用で使えない・使わない人は一定数存在しえるからだ。
約10年間に渡る変移を、属性別で仕切った上で眺めたのが次のグラフ。
↑ インターネット利用率(米、18歳以上)(属性別)
すでに2000年の時点で高年収・高学歴の人達の8割近くはインターネットの門戸を開いていた。全体で5割足らずの割合と比べれば随分と進んでいる。この10年強の間の普及率上昇度合いでは、元々低い値を示していた高齢層・低年収・低学歴の方が大きいのも当然だが(例えば65歳以上の世代区分では12%から41%と、3倍以上の伸びを示している)、それでもなお、いわゆる「デジタルギャップ」は大きな差異を示したまま、存在し続けている。
2000年当時のインターネットへの懸念「必要無い」「慎重」「不安」は未だに根強く存在する。立ち位置によってはインターネットという存在が、その懸念通りのものとなる人もいるだろう。しかし前世紀と大きく異なるのは、今ではインターネットが情報インフラとして日常生活に欠かせないものとなり、使えない・使わないことによる不便さがケタ違いに大きいという、否定しえない現実。後日別途見て行くことになる「非利用者の使わない理由」なども合わせ、いかにデジタルギャップを埋めていくかが、今後の課題となる。
今件はアメリカでの話だが、当然日本でも十分以上に参考になるに違いない。
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