コミュニケーション増進、情報と知識の増加、好奇心広がり…シニア層の「インターネット、よかった話」
2012/04/13 12:00
[電通(4324)]グループのシンクタンク電通総研は2012年4月10日、シニア層のインターネット利用動向に関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち、インターネットを利用している層では、「友人や知人とのコミュニケーションが増えた」ことをネットの恩恵と考えている人が5割強に達し、「ネットの恩恵」の最上位にあることが分かった。次いで「情報量の増加や知識の広域化」「好奇心が広がった」などが上位についている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2012年1月13日から23日にかけて、60代から70代の男女600人に対して調査員による訪問留置式調査で行われたもの。抽出方法はランダムロケーション・クォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)。世代構成比・男女比は、それぞれ均等割り当て。
以前別途記事で触れたように、今調査母体では(頻度はともあれ)日常的にインターネットを使っている人は60代で57.0%、70代で23.3%に達している。
↑ シニア層ネット利用率(2012年)(機器問わず、メール送受信含む)(再録)
それではこれら「ネットアクセスをしているシニア層」は、ネットを使う事で何か便益を得られたのだろうか。考えられる項目を提示し、複数回答で答えてもらったのが次のグラフ。最上位には「友人・知人とのコミュニケーションが増えた」で55.7%に達していた。
↑ インターネットを始めてよかったこと(複数回答、ネット利用者限定、60-70代男女)
トップとほぼ同数の55.3%で並んでいるのが「情報が増えたり、知識が広がったりした」。インターネットは情報の送受信が主な機能となるが、それを上手く使いこなし、自分の利としているようだ。
第三位以降はやや回答率が落ちるが、「好奇心が広がった」「地図機能により知らないところに行くのが楽になった」「時間が節約された」など、情報取得に直接関連する項目だけでなく、その情報を具体的に使いこなす方法でのメリットを見出している人が多数いる。
欧米ではシニア層によるインターネット利用での便益の上位項目につく「健康や病気に関する知識を得ることができた」は29.1%と3割足らずでやや少なめ。「健康関連でこのような情報がある」というシニア層への啓蒙不足と、あるいはシニア層が求める情報が足りない状況にあることが想定される。
今件設問項目は概念的なものが多く、シニア層の心境的な面でのメリットは把握できるが、具体的な利用機能、行動は把握しにくい。似たような目的で行われた別調査機関の調査結果【ネットライフをたしなむシニア層、最活用サービスは「オンラインショッピング」】と合わせて読むと、「買い物や他人との意思疎通など、身近な生活の利便性向上」「情報取得を中心とした知的好奇心の充足」の2点に集約される。
↑ インターネットで利用するサービス(複数回答)(一部)(再録)
技術的な確立はまだ先の話になるが、【音声対話システム、もっとも導入して欲しい製品は「テレビ・レコーダー」】で取り上げた音声認識システムのように、高齢層でも入力を容易とする仕組みの信頼度が向上すれば、より多くの需要に応えられるに違いない。
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