じりじり枚数が減る中で、唯一増えるアルバムレンタル…CDの購入・レンタル性向(2012年発表、全体平均枚数編)
2012/04/13 06:50
先日【CDや着うたフルなどの世代別シェア】で解説したが、2012年2月10日付で日本レコード協会が発表した【 2011年度「音楽メディアユーザー実態調査」】をベースとし、音楽関連の消費者性向を確認したり、音楽市場の動向を裏付け、あるいは消費者の行動を再確認している。今回は資料の中から「全体で平均して何枚のCDが買われ、レンタルされているのか」その動向を見ていくことにした。
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今調査は12歳から69歳の男女(中学生は親の代理回答となっている)に対して2011年8月・10月に実施されたもの。有効回答数は4960人。8月の調査ははインターネットアンケート、10月の調査はグループインタビュー方式。性別・世代別・地域別にほぼ均等に回答を集めた上で、国勢調査を元にウェイトバックを行っている。各種統計では修正後の値を用いており、偏りは最小限のものとされる。
先に別記事で記した通り、CDの購入・レンタル性向は漸減を続けている。絶対数ではなく「調査母体内の購入・レンタル率」なので、「音楽そのものから離れている」のか、それとも「音楽への興味関心は変わらずにCDから離れている」のかまでは確定できないものの、少なくともCD離れが進んでいることは明らか。
↑ CD購入・レンタル性向推移(各年、半年間)(再録)
そしてアルバムCDのレンタルを除けば、購入・レンタル者の購入・レンタル枚数も漸減している。
↑ CD購入・レンタル枚数(利用者限定)(半年間、枚)(再録)
そこでそれらの値をかけ合わせることで、「調査母体全体(買った人、買わない人を合わせた母体)における、平均購入枚数・レンタル枚数」が概算できる。まずは2011年分について算出したのが次のグラフ。
↑ 一人当たり購入・レンタル数(2011年、半年分、全体平均)
仮に年ベース算出を単純に2倍で求めると(今件グラフは半年分なので)、年間でCDは一人頭約3枚(シングル、アルバム合わせて)購入され、レンタルは5枚近く借りられている計算になる。4か月にCDを1枚買い、2か月半に1枚CDを借りる。老若男女を合わせてではあるが、勢いはあまり感じられない。
これを経年データで見たのが次のグラフ。
↑ CD購入・レンタル枚数(全体、枚、半年間)
見事に綺麗な形で減っており、CDソフト市場の縮小ぶりを一側面から再確認できる。唯一レンタルCDのアルバムが増加しているが、これはヘビーユーザーによる購入枚数増加が支えた結果によること、似たような現象はDVDビデオでも起きていることは、すでに以前解説した通り。
なお【縮み、変容する市場…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上(2011年版)】などでも記しているように、市場全体の動きとしては、2011年におけるCDシングルのセールスは前年比でプラス2%の値を見せている。今件データでは新品CD全体はもちろん、(グラフ化は略するが)アルバム・シングル共に落ち込みを見せており、つじつまが合わない。
これについては資料でも説明されている通り、いわゆる「超ヘビーユーザー層」の購入性向が、今調査では反映されていなかったものによると推定される。何しろシングルCD全体の売上枚数の数%が「イベントによる購入者層の上乗せ分」で占められているのだから、そのある無しで数字が小さからぬ動きを見せるのも、致し方あるまい。
■関連記事:
【「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上(2011年版)】
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