シェアは若年層が圧倒的、女性シニアにコア層が?…CDや着うたフルなどの世代別シェア動向(2012年発表)
2012/04/11 12:00
先日まで【「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上(2011年版)】などのように日本レコード協会が発表した【「日本のレコード産業2012」】を元に、2011年の音楽ビジネスの動向について触れた。その際、同協会が2012年2月10日に発表している【 2011年度「音楽メディアユーザー実態調査」】と関連しそうな事項がいくつか見受けられた。良い機会でもあり、今回から何回かに分けて、同実態調査から気になる動きを抽出し、色々な動きを眺めることにする。今回は「主要メディアの世代別・推定マーケットシェア」についてである。
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今調査は12-69歳の男女(中学生は親の代理回答)に対して2011年8月・10月に実施されたもので、有効回答数は4960人。8月はインターネットアンケート、10月はグループインタビュー方式。性別・世代別・地域別にほぼ均等に回答を集めた後、国勢調査を元にウェイトバックを行い、各種統計では修正後の値を用いている。
今回取り上げるのは、音楽市場の中でも注目を集めている、あるいは金額ベースでの動向に目が留まる「CDアルバム・シングル」「有料音楽配信(インターネット・モバイル双方)」「着うたフル(有料音楽配信のモバイルカテゴリにおける「シングルトラック」)」の3項目。調査母体を「中学生-20代」「30-40代」「50-60代」の3世代に区分し、それぞれの金額面でのマーケットシェアを試算している(無論実際の市場では小学生以下、70代以降も市場の一部を形成しているが、今件では考慮していない)。
↑ 各メディアの世代別推定マーケットシェア(金額)(2011年)
「CDアルバム・シングル」市場は物理メディアでデジタルギャップも最小限で済むことからか、壮齢世代の売上も大きく1/4程度にまで達している。残りを若年・中堅層が分け合う形。そして若年層の比率が最上位についている(詳細の分析では、特に高校生-20代が多数のCDを購入している)。
一方「有料音楽配信」全体では壮齢層のシェアは縮小。代わりに中堅層以下が増えており、特に「30-40代」のシェアが大きいのが確認できる。デジタル方面への好奇心が旺盛で利用も活発、パソコンやデジタル携帯音楽端末などのデジタル機器を購入する余力も十分に持っていることなどが、「CDアルバム・シングル」と比べた時のシェアの拡大ぶりを後押しする要因と思われる。
興味深いのは「着うたフル」。モバイル、つまり一般携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)で提供されるシングルトラックを意味するが、「有料音楽配信」全体以上に、若年層より中堅層の方がシェアが上回っているのが確認できる。別資料項目を見ると、購入者そのものは若年層の方が割合が多いものの、購入件数は中堅層の方が多い。「着うたフル」の中堅層のシェアは、ヘビーユーザー(特に男性)が支えているものと考えられる。
↑ 着うたフル購入性向(2011年、半年間)
↑ 着うたフル購入性向・購入者の平均購入曲数(2011年、半年間、曲)
今後さらにスマートフォンやiPodなどの携帯音楽再生端末が普及するにつれ、特に「有料音楽配信」と「着うたフル」のシェアがどのような動きを見せるのか。個々の売上そのものと合わせ、気になるところではある。
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