平均1日167件・中央値は60件…米若年層の携帯電話を使ったメッセージのやり取り動向
2012/04/10 06:50
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年3月19日、アメリカ国内に住む子供達と携帯電話(スマートフォン含む)、そして電子メール・SMS(ショートメッセージサービス=テキストメッセージ)の使用動向に関する調査結果【Teens, Smartphones & Texting】を発表した。今回はその中から、「電子メールやSMSの利用状況」に関する項目を見て行くことにする。
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今調査は2011年4月19日から7月14日にかけて、アメリカ合衆国内に住む12-17歳の男女とその両親に対して、電話での通話(英語とスペイン語)を用いて行われたもので、有効回答数は799人。分析上の値では国勢調査の結果に従ったウェイトバックが行われている。
先に【3/4強がモバイル持ち、そのうち3割はスマートフォン…米未成年者携帯事情】で記した通り、今調査母体では77%が携帯電話(一般携帯(いわゆるフィーチャフォン)以外にスマートフォンも含む)を保有しており、電子メールなりSMSで相手にデジタル経由で意思表示をできる環境を有している。
↑ 携帯電話を持っているか(米、12-17歳)(2011年4月-7月)(再録)
それでは具体的にどの位の頻度・件数でやり取りをしているのか。まずは昔からの頻度変化を見たのが次のグラフだが、明らかに昔と比べて今は利用頻度が上がっている。
↑ 電子メール、SMSの利用頻度(携帯電話保有の是非を問わず全員)(米、12-17歳)
オレンジの「無い・出来ない」は「環境そのものが無い(携帯電話非保有)」と「環境はあるが使わない(携帯電話保有)」の2パターンが該当するが、この項目回答者が漸減しており、若年層の携帯電話普及率の高まり具合も再確認できる。
また「少なくとも週一」「週一未満」という、環境はあるがあまり使っていない層は昔から比率がほとんど変化せず、「毎日」「週数回」という利用頻度の高い層、特に「毎日」層が漸増しているのも確認できる。要は単純に携帯電話保有者が増えただけでなく、保有者の中でも利用者率が増加しており、やりとりが活性化していることが分かる。
利用頻度が増加すれば、当然送受信の件数も増える。
↑ 一日平均でどれぐらいメール・SMSのやり取りをしているか(米、12-17歳)(携帯電話保有でメッセージ送受信者限定)(「無し」は普段使わずに、特定事由の時のみ利用するスタイルの人と思われる)
2年間で「1-10件」層が減り、他の層は大体増加。そして「100-200件」層は減っているが、「201件以上」層が増えている。少数利用者の減少、「一日数十件」層の増加、そして超ヘビーな利用者の増加と、全体的に増える形でスライドしながら、二極化の動きを見せている。
この「超ヘビーな利用者の増加」が分かるのが次のグラフ。件数を平均値と中央値で示したものだが、平均値と中央値のかい離(離れ具合)があまりにも大きすぎる。
↑ 一日平均でどれぐらいメール・SMSのやり取りをしているか(米、12-17歳)(2011年4-5月)(携帯電話保有でメッセージ送受信者限定)(平均値と中央値、件数)
平均値と中央値の差が大きいほど、極端な値を示す存在が見えてくる(例えば小遣いの平均値を求める際、調査対象が5人でそれぞれ100円・100円・100円・100円・1万円だとしたら、平均値は2080円だが、中央値は100円になる)。中央値より平均値が大きいので概して「突出して大きな値」を持つ回答者が多く、しかも両者の差が激しい層(男性、「12-13歳」、世帯が高収入層、親が高学歴層)ほど、大量に送る人とそうでない人との差が激しい事になる。
一方平均値で見た場合、「年上」「低年収」「親が低学歴」ほど多くのやり取りをする傾向が見受けられる。中央値でもほぼ同じ動きを示しているが、男女間では「女性」が高い値を示していることから、「男性……一部がヘビー利用者、多数は少なめ」「女性……多くの人がやや多い利用件数」な状況にあることが分かる。
「年上」は交流関係の広域化・表現方法の拡大によるものと思われるが、「低年収」「親が低学歴」がSMS利用の増加とつながる理由は明らかにされていない(レポートに説明は無い)。あるいはそれなりに金銭的に余裕がある場合、SMSでは無く他の娯楽やツール利用に時間を費やし、SMSでのコミュニケーションの利用が控えめになるのかもしれない。
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