逓減する寄付・ボランティア、その理由とは
2012/04/08 07:15


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今調査は2012年2月14日から20日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で20-59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は6000人。世代構成は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。男女比は1対1。
震災をきっかけに被災地への各種援助や、それに触発される形で震災被害以外の各種方面への慈善活動への積極的な姿勢があちこちで見受けられた。しかし例えば【震災と寄付金の関係】で挙げた事例では3か月で通常額に戻るのが確認されているように、特異な状態は長続きしない。

↑ 寄付金の月別支出金額推移(二人以上世帯、円)(再録)
今件では震災直後、そして今年に入ってから「したか・しないか」の二択で各慈善活動項目について尋ねているが、結果としてはすべての項目で「今年に入ってからの方が実行者が少ない」動きが確認できた。

↑ ボランティア活動や寄付活動(複数回答)
とりわけ上位2項目、被災地への「寄付」「支援物資提供」の実行者比率の低下が著しい。そして該当する項目は無しの人は震災直後は4割近く、今年に入ってからは7割近くに増加している。
なぜここまで減ったのか。減少の直接該当者となる「震災直後は行っていた」そして「今年に入ってからはしていない」人にその理由を聞いた結果が次のグラフ。

↑ ボランティア・寄付活動に参加できなくなった理由(震災直後にそれらの行動をしていたが、今年はしていない人対象)(複数回答)

↑ ボランティア・寄付活動に参加できなくなった理由(震災直後にそれらの行動をしていたが、今年はしていない人対象)(世代別、上位7位)
全体的な動きで見ると「忙しい」「余力が無い」など自分自身に余裕が無くなってきた、見方を変えれば日常生活が正常に戻りつつあることを理由として挙げている人が多い。一方で間接的理由になるが「景気低迷」「増税不安」のように「自分の尻に火がついてきたので、とても他にまで手が回らない」イコール「余裕が無い」とする意見も少なくない。直接的な「財務的余力が無い」に加え、景気低迷や増税不安など間接的財務上の起因が慈善活動の妨げとなる動きは、シビアな話ではあるが現実問題として受け止める必要がある。
「役に立っている実感が沸かなくなった」とする意見も多い。対象の規模があまりにも大きすぎ、「自分の行動」が果たして力になっているのか、言葉に少々語弊はあるが「やりがい」「成果」が無いことを理由に挙げている。これは慈善活動全般にいえる問題点で、解消法としては【結果がすぐに、自分の手で分かるとやる気も違うよね】や【陸前高田市で再建された図書館の「中味」を皆で埋めていくプロジェクト】などで解説しているように、活動提供側の切り口を変えることである程度解消できる。
上位項目の世代層別構成を見ると、
・壮齢層……自分自身の将来への不安で他まで手が回らない、慈善行為の実感不足
という、それぞれ異なる思惑による「慈善行為離れ」が生じていることが分かる。個々の立場や性質上の特性を考えれば、理解のできる理由ではある。見方を変えれば、これらの項目のうち解決できる面では、改善策を講じることで、人々の慈善活動へのモチベーションを高いレベルで維持でき「うる」ことをも意味する。関係各方面は、色々と工夫を凝らすべきだろう。
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