音声対話システム、もっとも導入して欲しい製品は「テレビ・レコーダー」
2012/04/09 06:35
東京工芸大学では2012年3月29日に同校公式サイトにおいて、ナチュラルユーザーインターフェース(人間の五感や人間が自然に行う動作を活用して機械を操作する方法。NUIとも呼ばれている)に関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団では、自然な対話形式で端末を操作できる「音声対話システム」に絡み、採用を期待したい製品のトップには「テレビ・レコーダー」がついた。過半数の人が望んでいる。次いで「カーナビ」も過半数超え、「パソコン」「エアコン」「照明」「自動車」が4割を超える同意率となっている。世代別では若年層ほどエンタメ性の強いもの、シニア層ほど日常生活感の強いものに大きな期待を抱いていることが分かる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2012年2月15日から22日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000人。男女比は1対1、年齢階層比は10代・20代・30代・40代で均等割り当て。
一昔前までは「他人に話しかけるような口頭での命令で、機械を直接動かす」ことなど、SFや漫画の世界の話でしかなかった。しかし技術の発達により最近ではiOSのSiriやNTTドコモの【しゃべってコンシェル】のように、対話形式で命じることでさまざまな質問に答えてくれるシステムが整備されつつある。
↑ 「しゃべってコンシェル」コマーシャル映像(公式)。
それでは日常生活において、どのような製品が「音声対話システム」を採用してほしいと思われているのだろう。複数回答で聞いた結果が次のグラフだが、最上位には「テレビ・レコーダー」がついた。53.8%の人が採用を望んでいる。
↑ 音声対話システムが採用されることを期待する製品(複数回答形式)
「音声対話システム」の長所の一つは(上手く働けばという前提があるが)、自分の意志を製品に反映させやすい点。ボタン操作やタッチパネルでは「どこを押せば録画予約ができるのか分からない」「説明書を読むのが面倒」という事態に陥りがち。しかし「音声対話システム」なら「予約をしたい」『録画開始はいつからですか』「明日の17時から」『何分間ですか』「30分」『チャンネルは?』といったスタイルで、対人指示のように入力ができる(※あくまでも仮定システムでの話)。機能の操作手順を隅々まで覚える必要が無いのもメリットとなる。
次いで多いのは「カーナビ」。こちらも操作の煩雑さを解消できるのと共に、運転をしながらでも操作ができるメリットもある。さらに「自分が乗っている自動車に話しかけて状況を確認する」のは、未来的なスタイルとしていくつかの映画や漫画で描写されており、憧れの対象でもある。
これを世代別(男女データのうち男性を事例として取り上げる)に見ると、全般的に「エンタメ色が強いものは若年層ほど高い」「日用品、日常生活で使い慣れている製品は壮齢層ほど高い」傾向がある。
↑ 音声対話システムが採用されることを期待する製品(複数回答形式)(上位10位、世代別)(男性)
「パソコン」「スマートフォン・携帯電話」「ゲーム機」「音楽プレイヤー」は若年層、「テレビ・レコーダー」「カーナビ」「エアコン」「照明」などは壮齢層の方が高い。以前「ゼスチャー認識」関連の記事でも類似パターンとして触れたが、「自分の日々の生活の中で長い時間触れている」製品に対し、「音声対話で動かせれば」との想いが強くなると考えられる。長時間繰り返し使うものだからこそ、少しでも便利になればメリットも大きい、と考えるのだろう。
同時に親近感や思い入れの強弱もまた、「音声対話機能の採用への要望」に大きく係ってくると考えられる。次のグラフは世代別に加え男女別に「音声対話機能」の採用の希望を尋ねた結果だが、いくつかの項目で男女の違いが現れている。
↑ 音声対話システムが採用されることを期待する製品(複数回答形式)(上位7位、性別/世代別)
例えば「テレビ・レコーダー」は自宅にいる時間(≒テレビを観る時間)が長い女性の方が値が高い。「カーナビ」「カーナビ」「自動車」は男性の方が高い値を示しているが、それぞれ女性より男性の方が利用頻度は高く、一般的にはより使いこなしている。今グラフには含まれていないが、「掃除機」などの家電製品でも概して女性の方が高い値を示している。
特に「音声対話機能」は先のレコーダーの事例からも分かるように、「複雑な操作仕様を(分厚い説明を隅々まで読んで)覚えなくても、それなりに製品を扱える」というメリットがある。他社製品との差別化のため、多種多様な機能を盛り込む傾向のあるデジタル機器では特に、「音声対話機能」は需要の高いものとなる。
冒頭で例として挙げたiOSのSiriやNTTドコモのしゃべってコンシェルの類がさらに普及を続け認知度を高め、より多くの製品で類似機能が採用されることを願わずにはいられない。特に高齢者などに向けたデジタルデバイド(技術格差)の解消策の一つとして、注目したい技術の一つに違いないからだ。
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