ボタンと比べてタッチパネルの使い勝手、ボタン操作と比べて良くなった? 変わらない??

2012/04/03 19:30

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ATMと悩める老人東京工芸大学は2012年3月29日に、ナチュラルユーザーインターフェース(NUI。人間の五感や人間が自然に行う動作を活用し、機械を操作する方法)に関わる調査結果を発表した。その調査結果によれば、調査対象母集団では、ボタン操作と比べてタッチパネル操作の使い勝手について、「操作方法で困るか否か」という点では1/3強の人が「良くなった」と回答していることが分かった。自己判断でのIT技術の熟練度別では、熟練度が高い人ほど「使い勝手が良くなった」との回答率が高い。また、具体的な操作感覚別では「操作に慣れるか否か」「操作が楽しいか」など慣れ親しみやすさの点で好感触を持つ人が多い一方、「誤操作・誤入力」に関しては「使い勝手が良くなったとは思わない」人の方が多いことも確認できる(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2012年2月15日から22日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で実施された。有効回答数は1000人。男女比は1対1、年齢階層比は10代・20代・30代・40代で均等割り当て。

スマートフォンや携帯ゲーム機などではごく当たり前に使われる、そして銀行などのATMでもお馴染みなタッチパネル。一部の家庭用ゲーム機で導入され始めているジェスチャー認識。日本語対応も果たしたiOSのSiriに代表される音声対話システムなどのように、人間の普通の行動で機器操作を行う方法を「ナチュラルユーザーインターフェース」と呼んでいる。その中でもっとも浸透している「タッチパネル」に関する使い勝手(使い心地の善し悪し)を尋ねたのが今回の設問。

まず「操作で困ることが減ったか否か」について、IT技術に対する自己判断での熟練度別に聞いた結果が次のグラフ。

↑ タッチパネルの使い勝手はボタン操作と比べて良くなったか(当てはまる派と当てはまらない派で集約統計)(操作方法で困ることが減った)(ITへの自己判断熟練度別)
↑ タッチパネルの使い勝手はボタン操作と比べて良くなったか(当てはまる派と当てはまらない派で集約統計)(操作方法で困ることが減った)(ITへの自己判断熟練度別)

全体では35.5%が「タッチパネル方式はボタン方式と比べ、操作で困ることが減った」と答えている。逆に「当てはまらない」派は15.4%。「どちらともいえない」は「ボタン操作と同程度」を意味する(以下同じ)ので、「当てはまらない」派はむしろ「ボタン操作の方が良かった」とする意見と見なしてよいだろう。

グラフを見ると、「どちらとも言えない」「当てはまらない」派はどのIT熟練度でも同じ程度おり、「分からない」派がIT熟練度の上昇と共に「当てはまる」派に移行していることが分かる。中には例外もあり、「当てはまらない」派からも移行する操作感覚項目もあるが、概して「IT熟練度が高い人ほど、タッチパネル方式で状況が改善された」と回答する人が多くなっている。

それではタッチパネルはボタンと比べ、どのような点で状況が改善されたように感じられるか。5つの項目を挙げて答えてもらった結果が次のグラフ。「すぐに操作に慣れた」人は6割近くに達している。

↑ タッチパネルの使い勝手はボタン操作と比べて良くなったか(当てはまる派と当てはまらない派で集約統計)(主要項目)
↑ タッチパネルの使い勝手はボタン操作と比べて良くなったか(当てはまる派と当てはまらない派で集約統計)(主要項目)

タッチパネルの端末は大抵においてデジタル化し、さらにはさまざまな画面表示やアニメーション、場合によっては音声付でていねいなアドバイスを受けられる。単なるボタン、そしてその横に説明のプレートが貼られているだけの場合と比べれば、「操作に慣れやすい」「操作が楽しい」との回答が多くて当然だろう。

一方で上記にてIT熟練度順に見た「操作方法で困ることが減った」は肯定派1/3、否定派1/7。同じくらいという人は4割強。一方で「ストレスが軽減された」「誤操作・誤入力が減った」という点では否定派が1/4・1/3ほどおり、特に「誤操作・誤入力が減った」の点では肯定派よりも否定派の方が多い。

これは以前【タッチパネル製品保有の世帯は8割強、携帯ゲーム機5割・カーナビ1/3】でも触れたが、特に中堅層以降にとって「画面表示の見にくさ」「押した実感が得られない」「反応が悪い」などのマイナス要因が「ボタンの方がまだ良い」と思わせているのだろう。メンテナンスの悪いタッチパネルだと、若年層が触ってもなかなか反応しない場合があり、それを体験した上で「確実に押せるボタンと比べ、ストレスが減った・誤操作などが減った」とは言い難いのは理解できる。

ボタンにしてもタッチパネルにしても、最終的な目標は「利用者に入力してもらう」こと。その点では操作本来で求められる事情の点(誤操作や、操作そのもので難儀する)で改善が得られにくい状況にあるのは、少々問題といえる。特に誤操作・誤入力の点は、今後タッチパネルを展開する上で、是非とも超えて行かねばならないハードルといえよう。



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