社会保障、「現状維持は難しい」7割超え

2012/04/04 06:45

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バランス連合は2012年3月30日、セーフティネットに関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体においては、現在の税・社会保険料負担のままで、社会保障水準を維持できると考えている人は4%に留まっていることが分かった。維持できないとする人は7割を超えている。一方、「維持できない」回答者にこの状態の打破のための施策変更案を尋ねると「負担増」を考えている人がやや多いものの、全般的には全般的にはまとまりがつかない結果が出ている(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2012年2月2日から7日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

「社会保障(医療や健康保険、年金、介護、妊娠・出産・育児支援、雇用などで受けられるサービス)」を展開するには社会的リソースが必要で、それには税や各種社会保険料の負担が求められる。今調査項目では「現在の負担」のまま「現在の社会保障給付水準」を維持できるか否かを聞いているが、肯定派は4%しかいない。

↑ 現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できると思うか
↑ 現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できると思うか

否定派は7割強に達している。男性の方が肯定派・否定派共に多く、女性は「判断がつきかねる」人が10ポイント程男性よりも多い。少子高齢化・社会保障受益者の数や(一人当たりの)量の増加、経済の低迷などの状況を考えれば、このような結果が出るのも致し方ない(人口構造の構成比変化だけでも【2055年には9000万人割れ…日本の人口推移(高齢社会白書(2011年版))】のような話もある)。

この場合の「維持できる・できない」は予算のやりくりを意味するので、状況を改善するには「保険料や税負担分を増やす」か「経費を減らす」のいずれかが考えられる。そこで「このままでは難しい」回答者に、今後どうすべきかを「給付水準」「負担」双方の組合せでいくつかの選択肢の中から一つを選んでもらったのが次のグラフ(「給付水準」「負担」共に現状維持の選択肢は無い。それが難しい、という回答者を調査母体としているから)。

↑ 日本社会の少子高齢化が進む中で、社会保障の負担と給付のあり方について、望ましいと考えるもの(現状負担では水準維持不可能と考える人限定)
↑ 日本社会の少子高齢化が進む中で、社会保障の負担と給付のあり方について、望ましいと考えるもの(現状負担では水準維持不可能と考える人限定)

「負担増」派を赤系統色でまとめたが、合わせて40.6%。一方で「現行以上の負担は望まない」派は緑系統だが、こちらは25.1%。グラフ構成は省略するが、給付の割合が大きい高齢層ほど負担増を望む人が多く、若年層ほど負担維持派が増加、さらに中堅層は「いずれも望ましくない」回答が多くなるという結果が出ている。

当然といえば当然だが、「受給割合も多いのだから、負担が増えても取り戻せる」と考える高齢層と、「負担の増加分ばかりが重しになり、受給分と比較すると割が合わない」とする若年層とでは、今後の社会保障に対する考え方が異なるのも当然といえる。

「社会保障の引き下げ」が意味する「個人負担増」は、インフラレベルのものをのぞけば「自己責任の度合いの引き上げ」にイコールとなる(公的サービスに期待できなければ自腹を切るという塩梅)。どちらを優先すべきかという社会全体への問題には、自分の立場を優先する人の「さが」もあり、なかなかまとまった意見となりにくいようだ。


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