企業にしてほしい社会貢献支援、世界トップは「環境維持」・日本は「自然災害後の救援物資の提供」も強い要望
2012/04/02 06:45
ニールセン ジャパンは2012年3月28日、企業の市民活動(企業は利益を追及するだけでなく、社会の公器としての立場から、各方面で社会的責任、特に地域社会への貢献を果たさねばならないとする考え方を具象化するための各種行動)に関する世界規模での調査結果を発表した。それによると、企業にして欲しい「企業市民活動」としては、世界全体では「環境維持」への支援がもっとも期待度が高く、6割以上の人が望んでいることが分かった。次いで「科学などへの教育や訓練の向上」「極度の貧困と飢えの撲滅」などが続く。日本は世界の平均値と比べると概して低い値を示しているが、唯一「自然災害後の救援物資の提供」では高い値を見せ、東日本大地震・震災の影響が反映されているのが分かる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年8月31日から9月16日にかけて、アジア太平洋、欧州、ラテンアメリカ、中東、アフリカ、北米の世界56か国の15歳以上の消費者に対して行われたもので、有効回答数は総計で2万8000人以上。各国の世代・性別構成別に割り当てられ、インターネットを利用する消費者を代表するようにウェイトバックがかけられている。
「企業市民活動」として企業が社会に貢献できる事柄は多種多様に及ぶ。企業の特性や長所に合わせ、臨機応変な対応をすることが望まれるが、一般論として人々は企業に対し、どのような行動を望んでいるだろうか。選択肢を提示し、当てはまるものを複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。元レポートから「世界全体の平均」と「日本の値」のみを抽出したが、概して日本の値は低い結果が出ている。
↑ 企業はどの課題を支援すべきか(複数回答)
これは挙げられた「支援すべき内容」の多くが、自分達の生活とは遠い場所にあり、イメージしにくい事象なことによるものと思われる。自分から遠い事象への対応には、緊迫感も薄い。逆に自分自身に、あるいは近辺にその事象が起きていれば、「どうにかしなければ」「手立てを講じてほしい」「手を差し伸べてほしい」との想いも強くなり、企業への期待も高くなる。「男女平等促進と女性の社会的地位向上」「環境維持」などの点で、世界平均に近い値を示しているのも、その仮説ならば説明できる。
さらに冒頭でも触れたが、全項目中唯一「自然災害後の救援物資の提供」は、日本の値が世界平均を超えている。昨年発生した東日本大地震・震災を思い返させるものであり、まさに「自分自身に、あるいは近辺にその事象が起き」たものだからこそ、大きく値が伸びているのだろう。
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