震災を経て強まる「他人への配慮」

2012/04/01 06:35

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絆ライフネット生命保険は2012年3月28日、東日本大地震・震災後における意識や行動の変化に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、肉親や隣近所、さらには見も知らずの人に対する「配慮」の意識が高まる傾向にあることが分かった。とりわけ被災三県(岩手・宮城・福島)では全体平均と比べて高い値を示している(【発表リリース】)。



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今調査は2012年2月14日から20日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で20-59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は6000人。世代構成は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。男女比は1対1。

2011年3月に発生した東日本大地震・震災のような大規模災害の後には、生物としての生存本能の高まりを受け、あるいは経験則から、他人とのコミュニケーション意欲が高まる傾向がある。今件調査でも(震災後にまとめて尋ねてはいるが)コミュニケーション周りの行動や考えについて、震災前後でそれぞれどの程度意識していたかを聞いてみたところ、5つの設問すべてにおいて、震災後に意識が強まっているようすが確認できた。

↑ 震災前から震災後への変化(当てはまる派=「当てはまる」「やや当てはまる」の合計)(質問は震災後に一括)
↑ 震災前から震災後への変化(当てはまる派=「当てはまる」「やや当てはまる」の合計)(質問は震災後に一括)

どの項目も大体1-2割程度の割合で増加している。

もっともこれも、「全国平均」と「被災三県のみ」で区分して再集計すると、大きな違いが出てくる。当然後者の方が「意識の強まり方」が一層大きなものとなっている。次のグラフは細分項目での「震災前後の差異」を示したものだが、「被災三県限定」の方がいずれも「やや当てはまる」「当てはまる」の値で「全国平均」と比べて高い値が出ている。もう少し単純に表現すると「右側への偏りが著しい」。

↑ 「家族とのコミュニケーション増加を心がける」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)
↑ 「家族とのコミュニケーション増加を心がける」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)

↑ 「仕事より家族や友人との付き合いの優先度上昇」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)
↑ 「仕事より家族や友人との付き合いの優先度上昇」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)

↑ 「隣近所とのコミュニケーション創生上昇」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)
↑ 「隣近所とのコミュニケーション創生上昇」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)

特に「家族とのコミュニケーション増加」では「どちらともいえない」という中庸意見ですらも大きく値を減らし、「当てはまる派」に移行しており、家族を大切にする気持ちが非常に大きくなったことが分かる。

最後に「見ず知らずの人への配慮増加」に関してだが、この項目は東京都・大阪府限定での結果も寄せられている。

↑ 「見ず知らずの人にも気を配るように・増加」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)
↑ 「見ず知らずの人にも気を配るように・増加」はどの程度当てはまるか(震災前後の各項目差異)

「全国平均」より「被災三県」の方が右側項目寄りになるのは他の設問同様だが、大阪と東京とでは東京の方が差はそれほど大きく無いものの「当てはまる」派が多いのが分かる。直接震災エリアに近く、あるいは「被災三県」で無くとも震災の直接被害を物理的・心理的に大きく受けたであろう東京都の人の方が、大きな心理変動を起こしていることになる。

このような心理上の変化が、今後他の方面にどのような動きをもたらしていくのか。注意深く見守る必要があろう。


■関連記事:
【震災を経て被災三県で強まる家族や友人、夫婦のつながり】



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