「年金」「給料」「私的年金」…60代前半シニア層の三大主要収入

2012/03/22 12:10

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年金厚生労働省は2012年2月22日、中高年齢者に対する継続的な調査「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の第6回調査結果を発表した。それによると60-64歳の高齢者のうち、公的年金を収入として受け取っている人は6割近くに達していた。自分自身の働きによる賃金を収入としている人もほぼ同数いる。収入源としては私的年金がその次に多く、この3項目が今世代の収入の主要構成要素であるのが分かる(【発表リリース】)。



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今調査は2005年10月末時点で50-59歳だった日本全国の男女を対象に、その時点以後継続的(毎年1回・11月第一水曜日)に同一人物を対象に行われているもの。今回第6回における対象者年齢は55-64歳、2010年11月3日に実施している。調査方法は調査票郵送・被調査者自己記入・郵送返送。回答数は2万6220人、そのうち第1回-第6回まで集計可能な2万5157人分を集計客体としている。調査母体全体では55-64歳であるが、今件項目ではその中から60-64歳の者を対象とし、集計している。

「現時点では」60歳以上になれば老齢厚生年金(特別支給分)、65歳以上で老齢基礎年金・老齢厚生年金が公的年金として受け取れる(もちろんそれぞれ、受給資格がある場合)。今件調査母体は60-64歳のため、老齢厚生年金(特別支給分)と、老齢基礎年金の繰り上げ受給を受けている可能性がある。それら公的年金を受給している人は全体の58.6%。ほぼ5人に3人の計算になる。

↑ 調査時点での収入の種類(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳)
↑ 調査時点での収入の種類(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳)

公的年金の受給者と共に多いのは就労賃金。要はお給金。ただしこれは男女で大きな違いが出ており、男性は未だに定年退職前で働いている可能性が多分にあるのと共に、退職後に世帯を支えるため嘱託などで再び勤務している状況を示唆している。実際、【60代前半の就業率は6割強・女性の5人に1人はパートやアルバイトに】などにもある通り、男性の方が就労率は高い。

↑ 調査時点での就労状態(2010年11月3日、60-64歳、択一)
↑ 調査時点での就労状態(2010年11月3日、60-64歳、択一)(再録)

次いで私的年金を収入としている人が多いが、これは約1割と、前述2項目と比べて随分減る。私的年金の積立をしていない人が多い他に、60-64歳時点ではまだ受給を開始していない可能性もある。さらに資産収入(保有不動産による賃貸収入など)「雇用保険」「子供等からの仕送り」などがあるが、いずれもごく少数に留まっている。

比率の大小を考えると、冒頭にある通りこの世代の主要収入源は「年金」「給料」「私的年金」、特に前者二つで占められると考えてよい。公的年金まずありきで、それで生活を充足しきれずに働いて補完する、このスタイルは以前【60過ぎて働く理由、トップは「今の生活費として」】で解説した通りである。

↑ 仕事をしている理由(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしている」回答者)(各属性総数が100%)(上位項目のみ)
↑ 仕事をしている理由(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしている」回答者)(各属性総数が100%)(上位項目のみ)(再録)

ちなみに調査開始時、つまり今回調査の5年前(調査母体が50-59歳)において「60-64歳になったらどのような収入手段で生活をまかなうつもりか」との問いに主なものを3つ選んでもらい、その中に「公的年金」を含めた人、つまり老後の生活の支えとして「公的年金」をあてにしていた人に限り、今件調査内容を再精査した結果が次のグラフ。

↑ 調査時点での収入の種類(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳)(2005年時点(50-59歳)で、60-64歳の生活のまかない方上位3位内に「公的年金」を入れた人限定)
↑ 調査時点での収入の種類(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳)(2005年時点(50-59歳)で、60-64歳の生活のまかない方上位3位内に「公的年金」を入れた人限定)

全体の結果と比べて公的年金に頼る人の割合は大きいものの、それでも就労賃金で生活費用を補助している人が半数前後いるのが分かる。もちろん「公的年金”だけ”」と回答した人ばかりではなく、むしろ「公的年金”も”」程度の人が多数と考えられる。

一つ目のグラフと比較してみると、公的年金への期待と、その現実との違いがおぼろげながら見えてきて(ある程度の期待はしていても、やはり働かねば生活を支え切ることは難しいなど)、興味深い。


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