60代前半で仕事をしていない人、2/3は「仕事をしたくない」から
2012/03/20 12:00


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今調査は2005年10月末時点で50-59歳だった日本全国の男女を対象に、その時点以後継続的(毎年1回・11月第一水曜日)に同一人物を対象に行われているもの。今回第6回における対象者年齢は55-64歳、2010年11月3日に実施している。調査方法は調査票郵送・被調査者自己記入・郵送返送。回答数は2万6220人、そのうち第1回-第6回まで集計可能な2万5157人分を集計客体としている。調査母体全体では55-64歳であるが、今件項目ではその中から60-64歳の者を対象とし、集計している。
先に【60代前半の就業率は6割強・女性の5人に1人はパートやアルバイトに】で解説したように、60代前半の就業率は6割強という結果が出ている。逆に仕事をしていない人は4割近く。女性に限ればほぼ半数に達している。

↑ 調査時点での就労状態(2010年11月3日、60-64歳、択一)(再録)
それでは仕事をしていない人達は、単に「仕事をしたくない」からしていないのだろうか。それとも何か他の理由で、仕事が出来ないのだろうか。択一で一番適切な項目を選んでもらった結果が次のグラフとなるが、最多理由は「仕事をしたくない」。66.3%と、ほぼ2/3に達している。

↑ 「仕事をしていない」人の就業希望・求職活動・その他理由(択一)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしていない」回答者)
現在仕事をしていない人のうち12.3%は仕事をしたいと考えている。多くは求職活動中で、自ら事業を立ち上げている最中の人は(仕事をしていない人全体の)0.6%に過ぎない。仕事をしたいが、仕事周りで具体的な行動をしていない人は17.9%に達しており、その理由も「病気・けが」「希望する仕事がありそうにない」「探したけど見つからない」など多種多様に及ぶ。
大きな区分で分かると、仕事をしていない人は、
・仕事をしたいので現在活動中……1割強
・仕事をしたいが諸般理由で何もしていない……2割近く
ということになる。世間一般のイメージとしては二番目、三番目、特に三番目が多いような感はあるが、実のところは本人の希望で仕事をしていないのが分かる(ただし、なぜ「仕事をしたくないのか」について、今件調査では具体的な調べが無い)。
これを男女別に見ると、微妙な差異が見えてくる。

↑ 「仕事をしていない」人の就業希望・求職活動・その他理由(択一)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしていない」回答者)(男女別)
女性は「仕事をしていない人」の7割が「したくないからしていない」と答えている。男性とは13.6ポイントもの差。そして「高齢」「家事や育児」「介護・看護」などの項目でわずかに女性が男性より高い値を示しているが、差は1ポイント内外と誤差の範囲。女性の方が「仕事はもうしたくない。今までの働きで十分」との認識などで、仕事をしていない人が多いのが確認できる。
先の「60代前半の就業率は6割強・女性の5人に1人はパートやアルバイトに」でも男性より女性の方が仕事をしている率は低く、「仕事をしたくないが、(仕方ないので)仕事をしている」人の比率も低いとの結果が出ている。今件調査における「仕事」は、第三者から対価を受け取れる作業を意味する。その「仕事」では無く、家事というもう一つの「仕事」に専念したい、あるいはこれまでの「家事」で十分に働いたから、今後はゆっくりと自分の時間を楽しみたいとする想いが、女性には強いのだろう。
あるいは配偶者が定年退職を迎え、色々と開放された気分なのかもしれないが、今件調査からはそこまで推し量るのは困難である。
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