「窓」の向こうに見えるのは…表現力の豊かさがひと目で分かる広告
2012/03/19 07:00
【「ここまでやるか!?」としか言葉の出ないレゴ作りの品々たち】などにもある通り、レゴはその組合せで多種多彩な情景、物体を創ることができ、人々の想像力を無限大にふくらませる玩具として、世界中から愛されている。今回紹介するのは、日常風景の一部を切り取り、そのレゴで再現したものに置き替えながら、少々手を加えることで「再現力の高さ」と共に「高い注目度」の確保も狙える、表現力の高いレゴならではの広告である(【The ADS of the world】)。
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↑ ごく普通の街並みと、普通でないワンシーンの融合
これは2011年にマレーシアで展開されたレゴの屋外広告。ごくありふれた街並みに、ごくありふれた立て看板が配されている。その看板には一見すると看板の反対側にあるビル群が描かれているだけで、単なる透明なパネルのようにも見える。
しかしそのパネルには「日常的な風景」に加え、非日常的なシーンが加えられている。今件の場合、巨大なクジラが道路に埋め込まれてしまい「出してくれ」とばかりに叫んでいる情景が描かれている。あまりにもごく普通の情景に、非日常的なシーンが組み込まれることで、多くの人に「え?」と思わせる大きな第一印象を投げかけることができる。
↑ 各パーツはレゴの組合せで創られている
看板のメッセージは、レゴそのもののロゴ以外は「想像しましょう(IMAGINE)」の文字のみ。文章によるメッセージを最小限に留め、レゴが想像力、そして創造力次第でどのような「普通の」情景でも、そして「非日常的な」情景にいたるまで創りだせるという、無限に広がる可能性を示唆している。
単に看板の向こう側にある風景のみを創りだし、「腕前次第でここまで高い再現力を有する」という意味合いだけの屋外広告でも、それなりに注目を集めることはできる。しかしそこに1つアクセント、非日常性を加えることで「再現力の高さ」だけでなく「意外な情景」による注目も集められることになる。
似たような切り口による広告は、他に2つ程確認できる。
↑ 毛虫みたいなものと、巨大なロボットらしきもの。日常の風景の中に、非日常の瞬間。再現力の高さと、意外性のあるシーンという、2つのポイントで観る者の注目を引きつける
本物そっくりな日常の切り抜きと、そこに非日常を配することによるインパクトの盛り込み。それだけなら普通の絵や合成写真を用いたパネルでも十分可能だが、それでは単なる芸術作品となってしまう。あくまでもレゴで再現することにより、レゴの表現力の豊かさを盛り込み、レゴの広告として昇華させている。創り手のセンスと高い技術力が求められるが、レゴならではの、そしてどこででも応用できる切り口といえよう。
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