欧米の「スマートフォン購入時の最重要ポイント」は「回線品質」
2012/03/07 12:00
世界各地に調査パネルを有するアメリカの調査機関comSCOREは2012年2月23日、モバイル端末、特にスマートフォン関連の調査結果を発表した。今リリースには同社が持つ調査パネルを対象とした、主要国のモバイル端末事情に関する興味深いデータが数多く盛り込まれている。今回はその中から、調査国のうちアメリカ・EU諸国における「スマートフォンなどの端末購入時に重視する点」について見て行くことにする(【発表リリース】)。
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今データはcomScoreの調査パネルMobiLens(13歳以上の携帯電話所有者を対象に定期的な調査・データ取得を実施している)の結果を元にしたもので、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・イタリア・カナダ・日本を対象国としている。調査対象数はアメリカが1万人、イギリスとドイツが5000人、フランス・スペイン・イタリアが4000人、カナダが5000人など。日本向けのサービスの詳細は【MobiLens公式サイト(日本語)】を参照のこと。
【アメリカの大人の半数近くはスマートフォン持ち】などにもある通り、欧米諸国で急速に広まりを見せるスマートフォンだが、端末が無料で国から配布されるはずもなく、大抵は一人ひとりが自分で選び、購入していくことになる。その購入時にどのような点を重要視するか、数ある選択肢の中でどの機能や特性に重きを置くのかについて尋ね、上位を並べたのが次のグラフ。アメリカとEU5か国(イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・イタリア)では項目の並びが異なっていることに注意(スマートフォン項目の回答率が高い順に並べてある)。また、参考として「モバイル端末全体」値も併記している。
↑ スマートフォン/モバイル端末全体購入時における、重要視すべき点(10点満点、2011年10-12月平均、アメリカ)(comScore MobiLens)
↑ スマートフォン/モバイル端末全体購入時における、重要視すべき点(10点満点、2011年10-12月平均、EU5か国)(comScore MobiLens)
欧米共に最上位についたのは「提供プロバイダのネットワーク品質」。要は「回線品質」のこと。いくらスマートフォンそのものが高性能でお気に入りのOSを搭載し、アプリの種類も豊富、そしてランニングコストが低くても、データ通信面で回線がなかなかつながらない、すぐに断線する、つながってもスピードが遅いのでは、他の機能の魅力も半減してしまう。昨今日本でも【日本ではソフトバンク以外にauからも…「iPhone 4S」10月14日から発売】の話をきっかけに改めてスポットライトを浴びるようになったが、スマートフォンにおいて「回線品質」が重要視されるのは、何も日本だけでは無いということ。
欧米の差異としては全般的にアメリカの方が要望が強く、ヨーロッパの値が低めに抑えられている。また、回答値では無く順位で見ると、「アメリカ……OSのブランドやアプリのバラエティ」「ヨーロッパ……コスト意識の強さ」が見て取れる。
今件グラフは多数選択肢のうち上位10位を抽出したものだが、この中に「ソーシャルメディアへのアクセス機能」が入っていないのを不思議がる人もいるだろう。スマートフォンとソーシャルメディアの相性の良さは周知の事実で、しかもソーシャルメディアは未だに成長・利用者数の増加を続けている。
リリースでは事実を述べただけで原因までは触れていないが、「購入端末を選択する際の重要視点」として掲げる必要が無いほど、つまりチェック対象から外しても、「利用できる(初期搭載、あるいは公式をはじめとした各種アクセス用のアプリが使える)」のが当たり前になっていることが想像できる。「わざわざチェック対象とする必要すら無い」次第。
なおcomScoreの調査パネルMobiLensには日本も含まれるが、今件における日本の記述は見当たらない。日本で同様の調査をしたらどのような結果が出るのだろうか。気になるところではある。
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