「住まい」の重要度アップ8割弱、家族間のつながり強化6割…被災地の震災後の生活スタイルの変化
2012/02/02 06:50
【セルコホーム】は2012年1月30日、東日本大地震・震災の被災地における、生活や防災に関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体においては、「震災」後にハード的な意味での「住まい(住宅施設)」への重要度が高まった、そして住まいを構成する重要な要素「家族」とのつながりが強まったとする意見が多数を占めていることが分かった。一方で「震災」をきっかけに外出機会が減った人は4割程度に留まっている(【発表リリース】)。
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今調査は2012年1月6日から11日にかけて、青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県在住の15-69歳の男女に対して携帯電話を用いたインターネット調査によって行われたもので、有効回答数は2000人。男女比は1対1、年齢階層比は男性15-19歳223名・20代262名・30代265名・40代以上250名、女性15-19歳238名・20代268名・30代266名・40代以上228名。調査実施機関はネットエイジア。
今調査は主な被災地に現在も居住し、生活をしている人の心境を推し量るものだが、今回は「震災」後における生活スタイル、家族とのかかわり合いの変化にスポットライトを当てる。下のグラフは関連する主要4項目への回答をまとめたものだが、やはり物理的・建造物としての「住まい」に対する関心度・重きが非常に高まっていることが確認できる。
↑ 「震災」後の生活スタイルや家族とのコミュニケーションに関する意識
今調査項目では具体的記述は無いが、後日別途取り上げる項目では「”住まい”において耐震性や耐震対策は重要」と考えている人は9割をゆうに超えており、「震災」の経験が大いに反映されているのが分かる。また後述するが、「家族間のコミュニケーションの場としての『住まい』」との観点からも、大切な場所として認識されつつあることがうかがえる。
「家族間の会話量が増えた」「家族のきずなの深まりを感じた」とする意見も6割前後と高めの値を示しており、多くが「震災」を体験し、それを経てお互いの大切さを再認識したものと思われる(昨年11月に公開された連合の調査結果【震災を経て被災三県で強まる家族や友人、夫婦のつながり】でも同様の結果が出ている)。
他方、「震災」後の行動様式の変化として指摘されている、「外出を控える動き」だが、今件調査では4割程度の人が「外出控え・自宅内で過ごす時間の増加」を体感していると答えている。残りの6割は「増えた」または「変わらない」であり、どれほど「増えた」人がいるのかまでは判断できない。つまり一概には「震災を介して家に閉じこもる傾向が強まった」とは言い切れない。しかし「4割は外出頻度が減っている」とする意見は、十分以上に留意する価値のある結果といえる(当然、心理変化に伴う「閉じこもり」以外に、就業環境や家族との関係の変化に伴う可能性もある)。
同時に、「外出控え」が4割でしかない一方、家族とのつながりの強化を覚える・実践する人が6割いる点を合わせて見ると、接する時間に変わりは無くとも、その家族と共有する時間の濃度を密にして、関係を深めようとする意図も見えてくる。そして、だからこそ「共に住まう場所」としての「住まい」への関心度が強まったとも考えられよう。
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