「学力相応」「通学便利」受験高校の選択ポイント
2012/01/29 06:30
ベネッセは2012年1月25日、高校受験に関する調査結果を発表した。それによると調査母体の現役高校生においては、志望校を決める際にもっと重視したのは「自分の学力に合っている」ことだった。9割以上の人が同意を示している。次いで「通学に便利」「教育方針や校風が良い」などが続いている。また推薦入試と一般入試で区分すると、部活やスポーツ、設備の充実など多面的な高校生活を送れそうな項目で、推薦入試の人はより一層重視している傾向がある(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年9月に、子供を持つ母親(35-39歳)10万人対して予備調査を行い、高校受験(中高一貫校の内部進学は除く)を経験した高校一年生の子供が持つ母親に依頼する形で、インターネット経由にて実施されたもの。母子3085組のサンプルが集まった時点で調査を終了している(つまり「高校浪人」「中卒就職」のパターンは回答母体内に無い)。
【高校受験は公立1校・私立国立1校が約半数、公立推薦受験者も3割に】で解説している通り、今調査母体の高校生では、高校受験の際に「公立1校、私立あるいは国立1校」の計2校を受験した事例がもっとも多く、48.0%に達している。公立を本命、私立・国立を保険として、あるいは逆に公立を保険として受ける、「本命と保険、1校ずつ」のパターンと思われる。
↑ 受験校数(同一校複数回受験は1校換算)(再録)
それではこれらの受験校、表現を変えれば志望校を選ぶ際、どのような点を重視しただろうか。複数回答で質問し、選択肢において「とても重視した」「まあ重視した」の回答率を足した「同意者」比率をグラフ化したのが次の図。最上位は「自分の学力にあっている」で94.9%。何はともあれ「学力相応」が求められている。
↑ 志望校選びで重視したこと(子供回答)(複数回答)
「学力相応」の学校でないと、入学してからも苦労することは容易に予想できる。苦労するのは保護者ではなく自分自身。自分の問題だからこそ、子供も真剣に考える。それと比べるとやや落ちるが、「通学便利」が第二位で約7割。こちらも「自分の問題」「入学後の苦労」という点で、「学力相応」と共通する点が多い。
提示された選択肢が巧妙なのか、あるいは問題意識が似通っているのか、第3位以降は5割前後の回答率が多い。すべての項目で同じ人が「そう思う」「思わない」で二分しているわけではないが、みなそれなりに考えどころがあるのだろう。
これを入試スタイルで区分すると、多少ながらも違いがある。
↑ 志望校選びで重視したこと(子供回答)(複数回答)(入試様式別)
「推薦入試で合格した子どものほうが、より多くの項目を重視」は元資料の説明。しかし項目数だけなら「推薦入試が多い」「一般入試が多い」に差異はあまりない。むしろ「推薦入試」がずば抜けて多い項目を見ると「入りたい部活がある」「特色のある授業やカリキュラムがある」「とりたい資格が取れる」など、通常の勉学以外の「高校の個性」に重点を置いているのが分かる。
そのような特異点に「惚れた」からこそ、推薦入試枠を使ってでも入りたいと考えている受験生が多かったのだろう(極端な例だが、「甲子園大会で有名な高校だから、野球部でエースだった自分は推薦入試で受験したい」という考え方が好例)。あるいは逆説的に、それら「個性豊かな高校」だから推薦入試枠も幅広く用意されており、受験生も利用しやすいのかもしれない。
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