ピークは1997年で変わらず…戦中からの新聞の発行部数動向(番外編・カウント方式未変更版)
2012/01/22 12:00
先に【戦中からの新聞の発行部数など】で総務省統計局経由の日本新聞協会によるデータを元に、日本の戦中からの新聞発行部数の推移をグラフ化した。その際に1956年で部数の算出方式を変更したことによるグラフの「歪み」が生じていることについて、いくつかご意見をいただいた。そこで今回は、その「歪み」を補正した、言い換えれば「算出方式を変更しなかった場合」の推移をグラフ化してみることにした。
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データ取得元は先のと変わらず総務省統計局の【日本の長期統計系列】や【日本統計年鑑】。先の記事でも解説しているが、部数の算出方式が「朝夕刊セットは1部でカウント」に変わったのは、多分に「発行部数≒購入世帯数←(比例関係)→購読者数」を把握できるからとの思惑が強い。朝刊と夕刊をセットで契約している世帯で、それぞれを別に数えたのでは、1世帯=2部となり、世帯数から大きくかけ離れてしまう。
しかしあえてそれを行って総合部数を算出すれば、世帯数とは関係の薄いものの、「新聞の発行部数そのもの」の推移を見ることができる。その様式で作成したのが次のグラフ。比較対象として、先の記事に掲載した「朝夕刊セットは1部でカウント」方式のものも併記する。
↑ 新聞発行部数(一般紙のみ、1942-2011年、万部)(朝夕刊セットを2部として累計)
↑ 新聞発行部数(一般紙のみ、1942-2011年、万部)(再録)
カウント方式の変更で生じた歪みはほぼ消えたものの、総発行部数のピークや部数変動に大きな違いは無い。ただしピークを迎えた後の下げ幅が、やや今回のグラフの方がきついように見える。これは先の記事でも解説した通り、「朝夕刊セット」の販売減退率が大きいため。「朝夕刊セット」が減れば、今回の算出方式では1部で無く2部減るのだから、その影響が大きくて当然。
ともあれ、多少の違いはあるものの、たとえ算出方式が変わっていなかったとしても、新聞発行部数の情勢に違いはほとんど無いと見てよい。前世紀末に部数ピークを迎え、あとは漸減傾向。この動きは否定しがたい事実と評することができよう。
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