ヨーロッパのスマートフォン普及動向
2012/01/07 06:25
昨年年末の【世界主要国のテレビ視聴時間】でも触れているが、イギリスの情報通信庁は2011年12月14日において【レポートページ】内で、各国の通信業界・メディア動向を整理してまとめた報告書【International Communications Market Report 2011(PDF)】を発表した。ヨーロッパ、特にイギリス中心の内容となっているものの、それを考慮しても有意義な内容に仕上げられており、注目すべき内容といえる。今回はその中から「欧米諸国の携帯電話利用者内のスマートフォン所有率」を見て行くことにする。
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【欧米諸国のテレビや携帯電話、スマートフォンなどの所有率】で解説した通り、欧米主要諸国における携帯電話(スマートフォン含む)の所有利用率は9割を超えている。普及率の高さは先進諸国共通のもので、新興国も日々普及率を高めつつあるのは、過去の多種多様な記事にある通り。
↑ 欧米諸国の主要メディア所有・利用性向(再録)
それではその携帯電話保有者のうち、スマートフォン「を」、あるいはスマートフォン「も」所有している人はどれくらいの割合なのだろうか。レポートの特性上、ヨーロッパ諸国のデータしかないが、それらの国平均では2011年8月時点で4割近く。その1年半前の2010年2月から比べると、15ポイントも上昇している。
↑ 欧州主要国別・携帯電話所有者内スマートフォン所有者比率(該当年月前後3か月間の平均、13歳以上)
全体に占める普及率に関しては、(2011年8月においては)これらの値に一つ目のグラフの各値を乗算すれば概算値を算出できる。大体9割掛けで良く、各国で3割近く-4割強というところか。いずれにしても「かなりの浸透率」と評せる。また、この1、2年における加速度的な普及ぶりも把握できるというもの。
レポートでは「モバイル端末のインターネットへの利用性向において、スマートフォンは大きな影響を与えている」「全世界では2011年6月時点で前年比74%の販売台数増を記録しており、それは携帯電話のセールス全体の1/4を占めている」「2011年第3四半期では中国で2390万台、アメリカで2330万台ものスマートフォンが販売された」など、世界的規模でスマートフォンが普及しつつあることを語っている。
また上記グラフ内5か国ではイギリスの伸びが著しいが、これは多分に「基本契約料無料」のサービスによるところが大きい。一方、イタリアが以前から普及率が高かったことと直近の成長率が鈍いのは、同国ではプリペイドカード方式による端末利用が多く、新規加入者への奨励が消極的であるからだと説明している。
国によって多少の事情・状況に違いはあれど、「最近では普及率向上が著しい」「モバイル端末保有・利用者の3-4割はすでにスマートフォン所有者」という状況に違いは無い。全部がスマートフォンに置き換わることはありえないが、今後もしばらくこの上昇傾向は継続していく。それにつれて携帯端末そのものとその周辺環境(例えばトラフィックの問題や電子商取引、ウェブ閲覧、etc..)も少なからぬ変化を見せて行くのは必然といえよう。そしてその動きは遅かれ早かれ、今回取り上げられているヨーロッパ諸国以外でも起きうる話ではある。
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