迷いが見える子供達の「結婚願望」と「子供保有願望」
2012/01/10 05:03
2011年12月25日に掲載した記事【父の単身赴任増加中? 子供がいる世帯の父母同居状況】などにもある通り、厚生労働省は同年12月21日、2009年度版の「全国家庭児童調査結果の概要」を公開した。これは全国の家庭内児童やその世帯の状況を把握し、児童福祉行政の推進のための必要となる資料取得を目的とし、5年周期で行われているもの。1999年度以降今回発表分もあわせ、現時点では全3回の記録が確認・取得できる。今回はその中から中学生以上に限定した上で、「将来結婚したいか」「将来子供が欲しいか」の2点について、言い換えれば将来の家族構築に対する考え方へスポットライトをあてることにする(【発表リリース】)。
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調査要件は先の「父の単身赴任増加中? 子供がいる世帯の父母同居状況」にて説明しているので、そちらで確認のこと。
まずは中学生以上に限定した上で、将来の結婚観について聞いた結果が次のグラフ。結婚をしたいと考えているのは6割。したくないとはっきり否定しているのは1割に満たず、残りの3割前後は「まだ分からない」と答えている。
↑ 将来、結婚したいか(中学生以上)
男女別では女性の方が結婚願望が強い。一方で調査期間別では男女とも直近結果の方がわずかながらも「したい」派が減る動きを見せている。その減った分は男性が「不詳」、女性が「したくない」に流れており、女性の結婚忌避感が増しているのが気になるところではある。
男性の「したくない派」の減少はともかく、「男性より女性が結婚願望が強い」「女性の”したくない派”の増大傾向」は、大人の独身者の意志傾向【独身者の結婚意思の変化(2010年分反映版)】とほぼ一致しており(まだ子どもゆえに「分からない」の回答率は高いが)、「大人も子供もさほど変わらないな」とする感想を持つ人も少なくあるまい。
一方「子供が欲しいか」という設問でも、やはり男性より女性の方が肯定意見が多い。
↑ 将来、子供が欲しいか(中学生以上)
結婚願望同様に「まだ分からない派」が1/3前後、否定派は少数だが、全体的に「結婚願望」より「子供保有願望」の値が低いのが気になるところ。「子供が欲しい」との回答者のすべてが同時に「結婚したい」と答えているとは限らないが、多分に重なっていることを考えれば、「結婚はしたいが子供は欲しくない」という選択肢を選んだ子供がそれなりにいるはず(単純計算なら両者の肯定派の差がそれに該当する)。
あるいは子供達もおぼろげながら、大人の想い、具体的には【理想と予定、子供の数の推移…(下)理想数まで子供を持たない理由(2010年分反映版)】にあるような、「結婚はしたいが、子供を持つのは大変だ」とする考えに近いものを、すでに持っているのかもしれない。
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