父母同居世帯における共働き動向
2011/12/26 06:40
【父の単身赴任増加中? 子供がいる世帯の父母同居状況】でも触れている通り、厚生労働省は2011年12月21日に2009年度版「全国家庭児童調査結果の概要」を発表した。この調査は全国の家庭内児童やその世帯状況を把握し、児童福祉行政の推進のための資料取得をその目的とし、5年周期で行われている。現時点では1999年度以降今回発表分もあわせ、全3回の記録を把握・取得できる。今回はその中から、父母が世帯内に同居している(単身赴任などで無い)世帯における、夫婦の就労状況、言い換えれば共働き動向を見ていくことにする(【発表リリース】)。
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調査要件は先の「父の単身赴任増加中? 子供がいる世帯の父母同居状況」にて説明しているので、そちらで確認してほしい。
今調査の調査母体(18歳未満の児童がいる世帯)における、父母の同居・別居状態、及びその推移を示したのが次のグラフ。直近に近づくに連れて「父母同居」世帯が減少しているのが分かる。なお今件における「別居」とは「単身赴任や出稼ぎなどにより、その世帯には居ないが、日常生活上の経済関係がある場合」を指す。
↑ 父母の有無・同居別居にみた世帯の状況(再録)
このうち「父母とも同居」の世帯に限定し、その父母が就労しているか否かについて聞いた結果が次のグラフ。要は「父母とも自宅にいる世帯で、片働きか共働きか」を示したもの。
↑ 「父母とも同居」している世帯の父母の就労状況別にみた世帯の状況
一番左の項目、共働きの世帯率が確実に増加しているのがひと目で分かる。専業主「夫」もわずかながら増加、そして父就労・母専業主婦の世帯率は47.7%から42.3%に低下している。別調査の結果【増える共働き・減る専業主婦…共働き世帯の増え方(2010年分反映版)】と同様の結果が出た次第だが、やはり「女性の仕事へのこだわり」「経済的な問題から共働きせざるを得ない」などの事情により、共働き世帯が増えているものと思われる。
●父母の就労と児童数
この共働きの理由、そして少子化の現状を間接的に表しているのが次のグラフ。各就労パターンにおける世帯平均の平均児童数を示したものだが、「経年と共にわずかながら減少」「経済的な支えが弱いと思われるパターンほど子供数が少ない」の2つの動きが確認できる。
↑ 「父母とも同居」している世帯の父母の就労状況別にみた1世帯あたりの平均児童数推移(母就労・父母就労せず・その他は回答数率少数)
以前「出生動向基本調査」を元にした分析記事【理想と予定、子供の数の推移…(下)理想数まで子供を持たない理由(2010年分反映版)】でも触れているが、予定子供数が理想子供数を下回る夫婦における、予定数まで子供を持たない最大の理由は「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」にある。
↑ 妻の年齢別に見た、理想の子供数を持たない理由(2010年)(予定子供数が理想子供数を下回る夫婦限定、複数回答)(【理想と予定、子供の数の推移…(下)理想数まで子供を持たない理由(2010年分反映版)】から。再録)
共働き世帯の平均児童数が最も多く、次いで父就労・母就労の順となり、特に(世帯所得が少ないことが容易に想像できる)母就労世帯では、平均児童数が0.5人ほど少ない点を見るに、金銭的な問題(、そして間接的に育児の問題も)が(父母ともに同居している)世帯の児童数を押し下げていると見て良いだろう。
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