父の単身赴任増加中? 子供がいる世帯の父母同居状況
2011/12/25 19:30
厚生労働省は2011年12月21日、2009年度版「全国家庭児童調査結果の概要」を発表した。同調査は全国の家庭内児童やその世帯状況を把握し、児童福祉行政の推進のための資料取得のために5年周期で行われているもので、1999年度以降今回発表分もあわせ、全3回の記録が確認できる。今回はその中から、世帯そのものの状況、具体的には「児童がいる現世帯に父母が同居しているか、あるいは別居しているか」などにスポットライトをあてることにする(【発表リリース】)。
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今調査は2009年12月1日時点で18歳未満の児童(設問によっては小学校5年生-18歳未満のみを母体にして統計)がいる世帯を対象とし、調査票の事前配布・調査員回収による留置自計方式によって行われたもので、有効回答数は1369世帯分・児童用の調査票は1098人分。
今調査の調査母体(18歳未満の児童がいる世帯)における、父母の同居・別居状態、及びその推移を示したのが次のグラフ。横軸の左端がゼロ%でないことに注意してほしいが、直近に近づくに連れて「父母同居」世帯が減少しているのが分かる。
↑ 父母の有無・同居別居にみた世帯の状況
今件における「別居」とは「単身赴任や出稼ぎなどにより、その世帯にはいないが、日常生活上の経済関係がある場合」を指す。家庭内不和で云々という事例もありうるが、単身赴任などと比べればごく少数と想定できる。
さて全体的には「父母同居」がもっとも多いものの、現在に近づくにつれてその値は減っており、直近では84.2%に留まっている。その一方で、「父別居・母同居」「その他(母子家庭など)」が増加しているのが確認できる。
「父別居・母同居」は父親の長期出張・単身赴任、さらには出稼ぎの事例。児童のいる世帯を母親が守っているというスタイル。これが10年の間に2.5%から4.4%に増加している。それだけ「自宅近辺での職」が減少しているか、単身赴任を従業員に求める企業が増加しているということだろう。
そしてもう一つ気になるのは「その他(母子家庭など)」が増加している点(6.4%から10年で11.0%に)。今グラフでは一項目に集約してしまっているが、10年で父子家庭は1.1%から1.7%、母子家庭は5.2%から9.2%にと増加。特に母子家庭の伸びが気になる。
祖父母などのサポートがあれば良いが、それが無ければ経済的・子供の世話の面で難儀するのは必然。「6.4%から11.0%」は、その「難儀する」人の増加を間接的に意味している。増加「原因」を示す値は今調査には無いが、留意しておくべき結果といえよう。
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