世界各国の世代別SNS利用率
2011/12/26 06:32
アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年12月20日、携帯電話やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用に関する世界各国への調査結果を発表した。今回はその中から「世代別」SNSの利用率に関する部分を抽出し、グラフの構築を行うことにする。各国のSNSの浸透における世代間格差の傾向をかいま見ることができよう(【Texting, Social Networking Popular Worldwide】)。
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今調査の最新版データは21か国それぞれの18歳以上の大人に向けて直接相対・電話経由で2011年3月-5月にかけて行われたもので、回答数は各国約1000人(但し中国は3308人・インドは4029人と多め)。中国の結果以外は各国の国勢調査のデータに基づいたウェイトバックが行われている。
今調査母体のうちインターネットを利用しているか否か、しているならばSNS(一般的にはFacebookだが、質問している国で主流のSNSをも併記している)を使っているか・使ったことがあるか否かについて尋ねた結果が次のグラフ。
↑ SNSを使っているか(再録)
インターネットを使っていなければ当然SNSも使わない次第だが、国によって大きな違いがあるのが分かる。
それでは世代別ではどのような差異を見せるのか。デジタル系サービスは若年層ほど利用率が高いのは世の常(柔軟性の高さ、既存技術に染まっていない、しがらみにとらわれない、etc.などが理由)だが、若年層と高齢層との違いは全部の国で同じというわけでもあるまい。
↑ 世代別SNS利用率(各世代の全体比)
アメリカ、フランス、スペイン、イギリス、ドイツなどヨーロッパ各国では若年層が押し並べて8割前後の利用率を示している。これが「インターネット利用者」や「携帯電話保有者」では無く「全体」に占める割合であることに注意。日本はやや意外で6割足らずに留まっている。
「20代まで」よりは「30-40代」、そして「30-40代」よりは「50歳以降」の方がSNS利用率が低いのは各国共通。しかし例えばアメリカ・イギリス・ポーランド・ロシア・イスラエル・ヨルダン・日本などでは40代までの利用率は20代までに比べると、低いことには違いないが、それなりに健闘している。一方で先進諸国ではフランスやトルコ、新興国ではレバノンやインドネシア、メキシコなどは、世代間の格差が大きなものとなっている。
興味深いのはエジプトの動向。今回の対象国では唯一、「20代まで」以上に「30-40代」の利用率が高い。今データ自身のこの動きに対してレポートでは特に言及は無いが、別項目上で「昨年2010年の調査結果と比べると、ロシアとエジプトではSNSの利用率が跳ね上がっているのが確認できる。ロシアでは33%から43%、エジプトでは18%から28%という具合である。これらの国では共に政治上の騒乱にソーシャルメディアが少なからぬ役割を果たしており、注目を集めていた」との言及がある。エジプトではこの中堅層のSNSでのつながりが、一連の動きの原動力の一つとなった可能性はある。
他方多少の違いはあれど、高齢者がSNSをあまりたしなまないのは世界共通。今件は「全体比」だが、インターネット利用者(つまりデジタル系知識をある程度持つ人)に限っても、若年・中堅と比べて利用率は低いままだとレポートにはある。単なるブラウジングやメールの送受信と比べて、既存の仕組みとの比較事例が難しく、学ばねばならないことが多いSNSは、敬遠されがちな対象なりかもしれない。
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